一昨日は昨年秋以来のひさしぶりのハイキング。仕事が忙しかったりいろいろ事情もあって野外活動はほとんどできなかったので、今回は足慣らしということで鳥海山南麓の高瀬峡へ。例年より雪解けが早く高瀬峡遊歩道の入口の山ノ神までスムーズに車で行けました。他には来訪者がいないようです。
最初にまず遊歩道をはずれて、山ノ神ノ沢の源頭をめざします。薮に半ばおおわれた道を10分ほど歩くと源頭にたどりつきました。溶岩流の末端で、大きな岩がごろごろしており、その隙間から大量の水がわき出しています。温度は7.4℃で、非常に安定した湧水温です。草木はまだそれほど花を咲かせていませんが、苔の新緑がたいへんきれい。オオカメノキの若葉でしょうか、くるんと丸まった葉がほどけるようにして展開しつつ大きくなっていくようすが、じつに愛らしいですね。オオバクロモジは淡黄緑色の花をたくさん付けています。
ふたたび山ノ神にもどり、山ノ神ノ沢の本流に合流する右岸側の小沢を、やはり湧出点までたどります。沢の中に露出する小さな岩の上にも隙間なく苔と草(ネコノメソウの仲間)が繁茂していますが、一年中安定した水量の湧水の沢ならではの光景です。岸辺にはナガハシスミレが咲いています。この小さな流れの水源の温度は8.0℃でした。
残雪はもうほとんどありません。樹木の種類によっては若葉が伸び出しているものもありますが、総じてまだまだ冬の枯れ色です。写真は上が第一吊橋下のヒノソ本流で、下が蔭ノ滝。雪解け水のピークは過ぎたようで、まずまずの水量です。徒渉も難しくはありませんでした。表流水の温度は滝壺のところで5.9℃で、やはり湧水だけの沢に比べると低いです。
高瀬峡遊歩道を奥まで向かいますが、ヒノソ・二ツ沢・バンバ沢・カラ沢と、4本の沢を横断したり流れに沿って歩きます。草木の緑がまだ進展していないので、滝のようすも比較的よく見えています。一枚目はバンバ沢の由蔵滝(その滝壺が婆様淵)、2枚目はその下流の薬師滝ですが、いつもは樹木の陰になってよく見えません。3枚目は下方の横の流れがカラ沢本流で、左側の細い滝が剣龍ノ滝で湧水のみの滝です。右上隅に黒っぽい帯状の岩が見えますが、滝はこの溶岩帯の地層とその下の地層との間から噴出しています。
遊歩道最終地点にある大滝です。落差は20mくらいかと思いますが、春先はやはり水量が多いですね。手前の石積みは人工的なものではなく、カラ沢が大増水したときに大滝からのものすごい落水の勢いで滝壺のまわりに押し上げられたものです。水面から3m以上あるでしょうか。横たわる流木も、水かさがそこまで達したことの証拠です。滝壺の水温は7.9℃と高く、基本的には湧水がほとんどのように思われます。
2枚目の写真はカラ沢の本流ですが、臨時の橋かけ用の板が流されたままになっていたので、引き上げて岩の上に設置しなおしました。冬用の長靴を履いていたのが幸いでした。上の奥にちらと見えるのが大滝の下部です。元の橋はコンクリートの3本の橋脚に、頑丈な踏み板を固定していたのですが、数年前の洪水で壊れてしまっています。ただ流木がその跡にひっかかっているので、そちらからも今は対岸に渡ることができます。
最後の写真はケシ科のヤマエンゴサク(山延胡索)だと思いますが、カラ沢の左岸だけにたくさん咲いていました。ずいぶん変わった形の花ですが、色ももっと青いものや、ほぼ全体がピンクのものなどさまざまです。花の長さ2〜2.5cm。花は他にコミヤマカタバミ、キクザキイチゲ、ケツクバネウツギ、オオヤマザクラ、キブシなどですが、まだ種類は少ないです。これからですね。