現在製作中の文机は、4本の脚を幕板で組んでおり、脚部だけで自立するかたちですが、この脚部と甲板とは基本的に木製の駒で接合します。駒の先は幕板および根太に開けたホゾ穴にさしこまれ、その駒と甲板とはステンレスの木ネジで締結します。ネジの頭のところはあとでダボを打ち込み、金属面がかくれるようにします。
駒のほかにも、脚の頭部には短いホゾをこしらえ、甲板の裏側に浅いホゾ穴をあけて、これも組み合わされます。写真の1枚目は脚の頭にきざんだホゾですが、今回は長さ7.5mmで、四方に胴突を取っています。左右の淡色の材は幕板ですが、先日(3/14)のブログで述べたように脚に2mmの大入部分が嵌入されていることがおわかりかと思います。
2枚目の写真は仮置きした脚部と、甲板にあけた深さ8mmのホゾ穴です。甲板と長手の幕板とは木の繊維方向が同じなので、ホゾ穴はホゾの大きさとぴったり一致しています。しかし妻手の幕板と甲板の繊維方向は異なるので、湿度等による甲板の収縮による悪影響をかわすために、ホゾ穴もその方向には左右に1.5mmの逃げを設けています。
このホゾとホゾ穴は短いものなので垂直方向への結合にはたいして効き目がありませんが、水平方向には大きな効果を発揮します。脚がほんのわずかでも甲板に食い込んでいれば、強い力が加わっても甲板がずれることはありませんから。また短いホゾながら、幕板の通しホゾと合わせて脚に対して擬似的な2点接合となるので、脚部の強度も高めることになります。これは使い勝手と見栄えの都合上、脚部に貫などを設けない場合の有効な策といえるでしょう。