建築の解体材を利用して戸棚と文机(ふづくえ)を製作していますが、写真は文机の脚にホゾ穴を開けている途中です。
長手の幕板と妻手の幕板がこの脚に組合わさるのですが、通しホゾが脚の内部で上下に90度に立体交差します。しかしホゾ穴を角ノミ盤であける際に、片側のホゾ穴がすでに開けてある場合は、角ノミの刃に押されて最後のところで穴がめくれて壊れてしまいます。それを避けるための詰め物が必要です。ホゾ穴の大きさにきっちり合わせた寸法の角材(この例ではスプルス材)をこしらえて、端の面取りをしてからホゾ穴の内側のほうから軽く打ち込んで、脚の厚みよりわずか短くなるようにカットします。
これをしないで双方のホゾ穴をあけてしまうと、脚のホゾ穴部分の強度がだいぶ低下してしまいます。組んでしまえば表からはまったく見えなくなってしまう箇所ですが、だからこそちゃんと手当をしなければなりません。
写真でいうと詰め物の木口の短いほうが組み立てたときの表(外)側、長いほうが裏(内)側で、裏側のほうは通しホゾのぶんと小根ホゾのぶんとふたつ詰め物をしています。この脚にかぎりませんが、各パーツの表になる面には◯、裏になる面には△の印を赤色のクーピーでマーキングしています。青色の矢印は自動鉋盤を通した際の切削方向で、数字はその結果の材料の厚さをあらわしています。こうした表示はそれぞれの工房や木工家によって異なると思いますが、私のところは30年くらいずっとこんなふうな感じです。