柾目無節長尺のウォールナット厚板

 

酒田市のKさん宅のリビングのドアを2枚取り替えることになりました。現在のドアは合板のフラッシュで、小さ目の型板ガラスが一枚上のほうにはまっている形式のものです。筑後35年くらい経つそうで、だいぶ痛んできてもいるのですが、それだけでなく暗い感じであるとか、リフォーム工事をした部屋の他の部分との見た目の調和などが気になるとのお話でした。

はじめの打ち合わせではドア枠の材料はスプルスで見積もりをすることにしていたのですが、住宅のリフォーム工事をされた折にアメリカン-ブラック-ウォールナット製の市販品の戸棚やテーブル・椅子などをそろえられたという経緯もあり、結局ドアの枠もウォールナットで作ることになりました。

しかしウォールナットはクルミの仲間の広葉樹で、幹が多かれ少なかれ曲りくねっています。そのためドアや引き戸といった建具用の柾目+無節+長尺の材料を取ることはきわめて困難です。通常の家具の扉くらいのサイズならなんとかなると思いますが、高さ2m前後もある建具だと厳しい。まして乾燥していてすぐ使える材料となると見当もつきません。当地の建具の基本厚さは仕上がり33mmなので、ウォールナット材で建具を作るとなれば素材の厚さは40mmは必要です。

普通であれば「できません」と断るところですが、長く取引のある材木屋さんに問い合わせをしたところ「あります。ただし8枚一組一括なら」という返事がかえってきました。今回実際に使用するのはせいぜい3枚くらいだと思うので、8枚仕入れてしまうと短期的には完全に赤字になってしまいますが、お客様が強く希望されていることもあり、悩んだ末に8枚全部購入することにしました。

写真は当工房に先日搬入されたそのウォールナットの板を検寸して、2700mm切断可のパネルソーに立てかけたところです。なかなかの壮観で、一立方メートル(1m^3)あたりの単価的にも、玉杢や縮みなどの杢の出ているものやそれ一枚でデスクなどに使えるような幅広の「一枚板」をのぞけば、これまで仕入れたウォールナットの中ではいちばん高い材料です。

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