コーヒーブレーク 25 「ブガッティ」

 

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水平線という大きな矢夏休み

目の錯覚や思い込みではないと思うが、左右さえぎるもののない海を眼前にすると、ほんのわずかながら水平線が円弧を描いているようにみえる。またよく晴れた空気の澄んだ日でも視界距離には限度があり、たとえ高倍率の双眼鏡でのぞいてもそれほど遠くまで見えるわけではない。したがってこの地球が丸いということは古代人でも、とりわけ海の民は直感的に感得していただろうと思う。むしろ都市に住む人間が「地球が丸いはずがない」という固定観念にしばられ、自らの感覚を否定していたのかもしれない。/視覚や聴覚・臭覚・味覚・触覚などによって体得される「事実」によって思考や理論は修正されねばならない。思考や理論によって眼前の事実を否定してはいけない。

 叩かれし西瓜は口きかずなり

さすがの猛暑も峠をこし、西瓜の季節ももう終わりである。暑いときは冷やしたメロンもいいが、もっと暑くなるとその甘くべたついた感じがきらわれて西瓜にとってかわられる。アイスクリームが氷菓にかわるのも同じ理由だ。わが家では妻の実家からメロンや西瓜はわけてもらえるので、まずお店で買ったことはないし、子ども時代も父の取引先の関係で同様にもらってばかりいた。しかしあらためてスーパーマーケットなどの店頭で大きな西瓜をみると、けっこう高いのにびっくりする。/さていくつも並んだ西瓜の食べごろをはかるのに手の平で西瓜の表面をぽんぽん叩いたりしたものだが、ほんとうにそれで中の熟れ具合がわかったかははなはだ疑問である。つまり実際の効力よりは食べる前の一種の儀式のようなものだったか。むろんのこと結局は包丁を入れて割ってみないとね。/それにしても歳時記でいまだに西瓜を秋の季語としているのには呆れる。昔はたしかに初秋のものであったかもしれないが、すでに事実としても人々の感覚やイメージとしてもまちがいなく西瓜は夏のものだ。

ブガッティは不格好だわ茄子の馬

ブガッティはもともはイタリアの高級スポーツカーのブランド。  1909年にエットーレ-ブガッティにより創設された自動車会社で、主に高性能のスポーツカーやレース車を作っていたが、この本家というか元祖というかブガッティと、現在ちまたで有名なブガッティはまったく別の会社である。/1987年に某実業家がブガッティの商標を入手し、1991年にEB110GTという高性能のスポーツカーを発表しにわかに注目を浴びる。しかし過大な投資により1995年に倒産。EB110は最終的に154台の生産にとどまったらしい。/現在はフォルクスワーゲンの傘下の子会社でフランスのブガッティ-オトモビルにブガッティの商標権・製造販売権は移行しており、2006年に販売開始されたヴェイロン16.4は約2億円というとほうもない値段と、時速400km以上という市販車最速クラスの超高性能が世間をさわがせた。/おもしろいのはその2億円なりの金さえ出せば誰でも買えるのかというとそうではなく、ブガッテイ側が「この車を買い所有するにふさわしいかどうか」を経済面のみならず人品骨格を厳しく審査し、それに通らなければいけないらしい。そのため買わんとする者はフランスのブガッティ本社に出向く必要があり(むろん事前審査をパスすればだろうが)、購入可となればとうぜんキャッシュ払い。お高くとまっているというよりは、そのへんの演出も含めての「超高級車」という販売戦略なんだろうね。

 

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