O様邸リフォーム工事 5
庄内町のOさん宅のリフォーム工事です。先週末くらいから床下に硬質の断熱材を入れています。当地の場合は冬期の最低気温がせいぜいマイナス5℃程度、普段は0℃を若干下回るくらいなので床下の断熱材は厚さ30mmが「標準」とされているようですが、今回は50mmの設計です。材料単価はだいたい厚さに比例しますが、この工事の場合はのべ床面積が12坪弱ですし工賃は30mmでも50mmでもほとんど同じなので、断熱効果を高めるためにすこし厚いものにしました。
硬質の断熱材にもいろいろ種類がありますが、写真のものはカネケンテック株式会社の「カネライトフォーム」という断熱材で、「A種押出法ポリスチレンフォーム保温板」という分類に入ります。微細な独立気泡の中に気体を閉じ込めているため対流・輻射・伝導が少なく、また吸水や吸湿性もほとんどありません。
この断熱材を床組の土台や大引・根太の間に入れていくのですが、できるだけ隙間がないように細縁を四方に回しそれで断熱材を四辺で受けるようにしています。一般的な標準的工法ではL形の小さな金具をいくつか打ってそれで断熱材が下に落ちないようにしているだけですが、それでは心もとないですね。冬に窓を1〜2cm開けただけでも冷気がかなり入ってくるのと同じで、断熱材と木部とに隙間があったのでは断熱効果がかなり損なわれます。今回のように四方に桟を回しておけばかなり効果的。理屈ではみなそのことは分かっているのでしょうが、「見えないところにはあまり手をかけたくない(かけられない)」ということなのでしょうね。
断熱材を入れたら、その上に24mm厚の構造用合板を隙間なく張りつめます。合板自体に端に凹凸(サネ)が刻まれていて、それを互いにはめあわせていく仕組みです。従来の床組では床板を直接受ける部材は根太という小さめの角材で、これを300〜360mm程度の間隔で平行に敷き並べていくのですが、根太を何本も正確に取り付けていくのはけっこう手間がかかります。それで手間を省きかつ床全体としてのそれなりの強度を高めるために、根太を原則として用いないという「根太レス工法」が生まれました。土台と大引のみでその上に直に構造用合板を張っていくのですが、やはりそれだけでは簡略工法のそしりはまぬがれません。
しっかりした床を作るには、床板を厚くすることよりも下地を細かく入れることのほうが重要です。逆にいえば大引と根太などの下地が緊密に入っていれば、床板はかなり薄いものでも大丈夫。ただ今回は仕上げの床材は15mm厚の無垢材のフローリングですが、これを24mm厚の構造用合板の上に重ねて張っていきます。計39mmもの厚さになるわけですが、やはり合板の継ぎ手の部分がネックになるので、その箇所と合板の中央とで約90cm間隔で背のあるしっかりした根太も入れています。