巻き尺
テープの幅が19mm、長さ5.5mの巻き尺(メジャー)です。工房で家具等の製作に使用している巻き尺は別にあるのですが、外出時に急にものの長さを計る必要が出ることもあるので、車あるいはバッグに常時携行用にひとつ新調しました。
これまで外で使っていた巻き尺は、長年の使用で目盛りの塗装が一部はげたりしてだいぶやつれてきたので今回新しくしたわけですが、選択のポイントはふたつあり、ひとつはテープの幅が狭くもなく広くもない大きさであること。つまり狭いとテープを長く引き出したときにすぐに途中でくったりと折れてしまいますし、広すぎるとテープの湾曲の度合いが大きすぎて物対目盛りの読み取りが難しくなります。それで頃合いをとって19mmにしました。
もうひとつのポイントは0点の精度です。どの巻き尺も0点にはL形の爪がついていますが、写真の巻き尺の場合は爪とテープの接合が4本ピンで止めてありしっかりしています。また巻き尺はよほど気をつけていてもうっかり落としてしまうことがあり、その際に爪を床にぶつけてしまうと爪が折れ曲がって0点の意味がなくなってしまいます。一度曲がってしまった爪はペンチなどで修正しようとしても完全に元通りになることはありません。家具の製作では1mm以下の精度が必要な場面も少なくないので、0点が狂った巻き尺は用をなしません。
その大事な0点を保護するために、この巻き尺では本体の口のところが爪の下向きの長さよりもすこし長く下方に突き出しています。こうすることで万一落下しても爪が直接打撃を受けにくいようにしているわけです。他の面でいくら立派で高級な巻き尺でも、この0点保護がしっかりと考慮されていない巻き尺は失格です。
余談にはなりますが、巻き尺のテープをゼンマイばねの巻き取りの勢いにまかせてバチンと勢いよくもどしてしまう人がときどきいますが、はっきり言ってまったく問題外、話になりません。計測器を大事にしない職人やデザイナーは素人以下です。