棚板受け

家具において棚板の高さ(上下の間隔)を変えられるようにする=可動式棚にする方法にはいろいろありますが、当工房の標準的なやり方としてはねじ込み式の金属製ダボを用いる方法があります。これはダボの雌ねじ(メン)を家具本体の側板の表面にフラットになるように50〜100mm程度の一定の間隔で埋め込んでおき、棚板が来る位置に雄ねじ(オン)を切ってあるダボをねじ込む方法です。

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写真はその雄ねじと雌ねじの、板に取り付ける前と後の状態です。ダボの径は通常12mmと9mmがありますが、これは12mmのもの。材質は真鍮ですがニッケルメッキが施されています。雌ねじを板に取り付けるにはあらかじめ径11mmの下穴を木工用ドリルのショートビットで開けておき、そこに雌ねじをげんのうで叩き込みます。雌ねじには段状の返しがついていますので、一度叩き込むと抜けないようにがっちり固定されます。

棚板受けのダボにはもっと簡略なプラスチック製のダボや、雌ねじなしのただの穴に金属製ダボを差しこむだけのものもあります。市販の量産家具の大半はその方式で、理由は単純にそのほうが圧倒的に部品単価が安く加工の手間も省けるからですが、もちろん強度・耐久性はかなり落ちます。

また最近では梯子形状の金属製レールを縦に4本ネジ止めとし、ダボではなく金属製のS字形状のフックを4個、レールの長方形の穴に引っ掛けるやり方もよく見かけるようになってきました。プラスチック製のダボなどよりはしっかりしていますし、可動のピッチを細かく取れるのはいいのですが、レール+フックの厚みのぶんだけ棚板と家具本体との間に隙間ができてしまうことや、棚板と棚板の間にもとうぜんながらレールが出っ張ってしまうという難点があります。見た目からいってもレールがやたらに目立ってしまうきらいがありますね。

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金属製の雄ねじ・雌ねじを用いる場合の、棚板のほうの加工は板の裏側に4カ所凹みを付けることです。ただし無垢材の棚板の場合は湿度などで若干の幅の収縮が起こることがあるので、それを考慮して幅14mm深さ3mmの欠き込みとします。切削はトリマーに6mmのストレートビット+トリマーシューを装着して行います。上の写真で左側の黒い扁平なアタッチメントがシュー(靴の意)です。

 

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