新緑は山を上がっていくのですが、紅葉は逆に山から下りてきます。その下端が「紅葉前線」ですが(他に全国的な緯度による水平的推移の意味もありますが)、鳥海山の場合はいま標高1200〜700mあたりが赤または黄に帯状に色づいています。
写真は月光川本流の川畔から眺めたものですが、手前の黄色い花はセイタカアワダチソウです。この花は昔「花粉症」の原因ということで、目の敵にされたことがあります。しかし虫媒花であり、花粉は少な目で重く風には飛ばされにくい形状であることから、まったくの濡れ衣のようですね。それなのに新聞やテレビ等のマスコミまで大々的に「デマ」を増殖したのですから酷いものです。植物の専門家に確認すればすぐにわかる話なのに。
セイタカアワダチソウは荒れ地や堤防などに大量に繁茂していることが珍しくありませんが、それはアレロパシー(他感作用)という性質をもっていて、根から他の植物の生長を抑制する物質を出すことや、頻繁に洪水や草刈りなどで撹乱されるような土地こそが彼らの適地だからです。ただアレロパシーは自分自身にもその作用を及ぼし、セイタカアワダチソウがほぼ独占的に生えるようになると逆にしだいに勢いが衰えてしまいます。写真でも中ほどにススキがたくさん生えていることがわかります。