だいぶ前ですが、新聞広告として載っていた腕時計です。セイコー(SEIKO)の「グランドセイコー」というメカニカル式の手巻きのオーソドックスな時計ですが、驚くのはその値段。外装の材質の違いによって差があり、18Kホワイトゴールドのは1680000円、18Kイエローゴールドと18Kピンクゴールドが1575000円、いちばん安いのはステンレスかチタンでしょうか、それでも472500円もします(税込希望小売価格)。10万円台じゃなく100万円台ですよ。数量も限定で、それぞれ70、70、70、700個。
世界的にはもっと高い、1000万円を超えるような腕時計も存在しますが、こういった機械式高級腕時計の製造原価っていったいどれくらいなんでしょうか。工業製品だから製造数が少なければ単価は俄然はねあがるのが道理ですが、それにしてもなんの変哲もない腕時計一つが100万円以上もするのは、冷静に考えるとすこし異常な気がします。もちろん精度や仕上げの程度や耐久性は数万円くらいの腕時計にくらべればそれなりに優れているのでしょうが、それほど極端な差があるとは思えません。この時計はデザイン的にははっきりいってなんの面白みも個性もありません。
言うまでもなくこういった類いの小物は趣味道楽の範疇なので、何にいくらお金をかけようが人それぞれで全くかまわないのですが、性能的にもデザイン的にもとくにどうということのない陳腐な腕時計を、ただそのブランドおよび値段だけで自慢するような人は私はちょっと敬遠したいです。おそらく一事が万事でしょうから。