住宅の基礎ですが、立ち上がり部分の基礎の枠をみな外し、上面をモルタルできれいに仕上げています。これを基礎天端均(きそてんばならし)といいますが、これがきっちり正確にできていないと、この後の木工事や屋根葺き等の水平がみな狂ってしまいます。その意味でもきわめて重要な行程です。
工事最初の遣方(やりかた)で周囲に木の杭と横木を回していますが、この板の水平度はその後の基礎工事などでいくぶんなりとも誤差が生じているおそれがあります。そのため、基礎の天端均しをするときはレベル(水準器)を用いて基準となる水平線をあらためて出して(基礎の側面に打ってある赤い線がそれです)、そこから一定の高さでモルタルを置いていきます。専用の定木をセットしてからコテを使って水平に均していくわけですね。厚さは2cm前後でしょうか。もちろんこの作業は専門家=左官屋さんが行うのですが、みごとなものです。
後日この基礎の上に土台をボルトで固定していくのですが、床を張るのは以前の場合だと、まず大引(おおびき)という太い角材を3尺(909mm)間隔で土台と面一になるように引き、さらに根太(ねだ・ねた)というやや細い角材を1尺〜1尺2寸(303〜364mm)間隔で並べ、その上に床板を打ち付けていきました。いわゆる在来工法の床張りですが、土台+大引+根太と重ねていくので、そのまま床を張ったのでは誤差が累積して水平にならない可能性がかなりあります。それぞれの木材の製材時の寸法誤差もあります。したがって根太を並べる前に部屋の周囲の柱に水平線を出し水糸を張って、そこから一定数値のさがりで根太の高さの微調整を一点ごとに行っていました。
根太の上端を正確にそろえないと床が傾いてしまったり波打ってしまうので、上記の作業は慎重に行わなければなりませんが、率直にいうなら経験的にこれはかなり面倒な作業ですし、職人の腕の差がもろに出てしまいます。そこで現在では根太を使わずに床を張る工法が主流になっていますが、それはその工事が始まってから詳しく説明したいと思います。