放射能汚染地図

 

2011年3月11日以来の、福島第一原発事故による放射能汚染を図示化したものです。インターネット(ツイッター)上で無料配布を告知されていたので、さっそく申し込みました。著者は群馬大学教授の早川由紀夫氏です。グラフィック(地図製図)は萩原佐知子氏。A2判両面印刷の非常に鮮明な地図です。国の補助金に加えて民間有志350名の寄付金を原資として作製されました。初版は2011年4月21日ですが、これは2012年8月8日に発行された七訂版です。

昨年3月に福島第一原発から放出され地表に落ちた放射性物質が、ほぼそのままの状態で保存されている場所の、2011年9月時点の放射線量率を表しています。セシウム134と同137の線量率ですが、芝生や草地の地上1mの値を示します。事故後すでに1年半が経過しましたが、放射線はまだ事故直後の7割程度にとどまっています。セシウム134は半減期2年ですが、セシウム137は半減期が30年と長いので、事故から5年経っても37%くらいまでしか下がりません。

この地図では最小が0.125マイクロシーベルト/時以上の線量率、最高は16マイクロシーベルト/時で、濃度ごとに8段階で色分けされています。最小の0.125でもそれを24倍、さらに365倍すると、法律で定められた放射線被曝量限度=1ミリシーベルト/年を超えてしまいます。1ミリ以下なら安全ということでは決してなく、低線量の場合の人体への影響についてはいまだに確定的なことがいえないので、とりあえずの許容量(がまん量)の目安にすぎません。

またこの汚染地図は比較的量が多く計測もしやすい、したがってポイントごとのデータが豊富なセシウムのみの値であって、他の核種、たとえばプルトニウムやストロンチウムといった非常に半減期が長く、より毒性の強い放射線物質については含まれていません。そのことを考慮に入れて見る必要があります。

北は岩手県花巻市・北上市まで、南は千葉県八千代市・市川市、群馬県のほぼ全域、東京都あきるの市・八王子市あたりまで0.125マイクロシーベルト/時程度に汚染されていることが分かります。汚染度は福島第一原発からの距離に単純に比例するわけではなく、そのときの風向きや地形に大きく左右され、さらにまた局所的なホットスポット(高濃度汚染箇所)が散在することが理解できます。人口の多い仙台市や東京の都心部などがわりあい低い汚染度ですんでいるのはまったくの幸運でしかありません。

私が住む山形県を見ると、これも僥倖としか言いようがないのですが、宮城県と隣合わせの山形市や天童市・東根市など一部に0.125マイクロシーベルト/時の網がかかっているだけです。だからといって他がまったく汚染されていないわけではありませんが、外部被曝に関する限りまあそれほどひどくは心配しなくてもいいかなという気持ちです。

この地図は両面印刷で、裏面にもさまざまな情報が載っていますが、そもそもの原発についての私自身の考えとともに後でまた詳しく取り上げたいと思います。

 

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