酒田市の方から材料持ち込みでの座卓の製作依頼がありました。左の写真がその材料ですが、知り合いからいただいた天然杉だそうです。検分したところ幅135cm奥行85cm高さ33cmの座卓が製作できそうだということで、正式な図面と見積もりを提示しました。
材料持ち込みでのご注文も原則的にお受けしていますが、こうしたケースでいちばん心配するのが材料の状態です。お客さんのほうではもちろんそれなりの材料だと思うからこそこれを活かしたい、そうすれば材料代も浮くしと判断されるのですが、実際には必ずしもそうではないことがあります。材料がまだ乾いていない、割れている、腐れや虫食いや変色がある、異物をかんでいる、反り捩じれがあって所定の寸法に足りないといったことです。またそうした物理的な欠陥がないとしても、客観的にみてほんとうに優良な材料ということはめったにありません。
私たち木工人は仕事柄、それこそ極上の材料や非常に貴重な材料をいやというほど見ています。テーブル・座卓の甲板(天板)一枚が数十万〜数百万などはざらにあります。ときに1千万をこえるものも。そうした希少な材料に比べれば、お客さんが保管されている材料は、当然ではあるのですがほとんどの場合、たいへん失礼ながらあえて申し上げますが中級品以下です。もし材料支給でなければ製作者としては正直なところあまり使いたくないと思うようなレベルの材料であることも珍しくありません。リスクが大きすぎるからです。
むろんその材料に特別な思い入れや経緯がある、お金の損得に簡単に換算できるようなものではないという場合もありますね。だからできる限りはご希望にそうようにしたいと思っています。ただ、材料の程度のいかんにかかわらず加工の手間はそう大きくは変わりませんので、材料が並以下だと結果としてかえって割高なものに感じられてしまうかもしれません。材料費に対し「加工賃+諸経費」が倍くらいになるのがふつうですから、材料支給でもそれほど安くなるわけではありません。そこはぜひご理解いただきたいと思います。