建築物の引戸や扉などの建具を組み立てるのが本来の役目の機械です。建具屋さんでは必須の機械ですが、家具作りをメインとする小規模の木工房でこの組立機を備えているところは少ないと思います。しかし家具でもキャビネット類には引戸や扉はつきものですし、矧合(はぎあわせ)といって、幅の狭い板を何枚も接合して幅広の板を作ることがよくあります。そういうときにはとても重宝する機械です。
組立機がない場合は棒状のクランプを数本〜十数本も用意してそれで部材の組み立てや板のはぎ合わせをしますが、大物や数があるときはかなりたいへんな作業となります。腕力もけっこう必要となりますね。
ただもともとが建具用ですから、これで締め付けが可能なサイズは厚さはせいぜい50mmくらいまで、長さが2300mm、幅が1420mmまで。また傾斜や曲線がついたものは困難です。逆に言うと四角四面の部材や板であれば均等に強力にいとも簡単に接合することができます。
締め付けは上部にある頑丈なビーム(?)を、左右の太く長い2本の角ネジをモーターでまわして降下させて行うメカニカルなものなので、いったん締めてしまえば電気を切っても大丈夫。圧力の調整はバネを巧みに利用した仕組みのダイヤルで簡単にできますが、適正圧力できちんと締めないと接合不良をきたすか反対に材料が破損してしまいます。必要な圧力の算出は例えば板はぎの接着であれば、使用する接着剤の適正圧が1cm2あたり仮に3kgとすると、厚さ3cm長さ200cmの板なら3×3×200=1800kgの力を加えないといけないことになります。写真の機械は最大10トンまで圧締可能です。
木工房で組立機があまり普及していないのはごらんのとおり図体がずいぶん大きいことと、新品だと100万近くするので、多少めんどうでもふつうの棒状のクランプで作業はできるからです。当工房でもとうぜんのことながら新品など買えるわけはありませんので、廃業した建具屋さんからすこぶるつきの年期物を安くゆずってもらいました。
上の写真は締め付ける前の準備段階のもので、機械の盤面に接着剤が付着しないようにポリスチレンの中空の細板を9本仮止めしています。下の写真は厚さ3cm長さ222cmのスプルス(針葉樹でヒノキなどの仲間)の無地柾目の板を6枚はぎ合わせて、幅920mmの一枚の大きな板を作ろうとしているところです。