生皮苧は「きびそ」と読みます。昨年12月4日の記事でご紹介したように、酒田市在住のタピストリー作家、十川眞紀(そがわまき)さんの作品です。
生皮苧は蚕の繭の一番外側の部分、つまり蚕が最初に吐き出す糸ですが、太さにむらがあるためにこれまではあまり利用価値がなく低品質なものとみられていました。ふぞろいのため糸に紡ぐこと自体も困難だったとか。それが製糸技術の進歩で生皮苧でもちゃんと長い糸にすることができるようになり、太さがまちまちでそろっていないところが逆におもしろい、味があるということで、最近はたいへん脚光をあびているものです。十川さんはご自分で染色した生皮苧を横糸に、麻糸を縦糸にして手織り機で織っています。織った厚手の布をバッグに仕立てるのは専門の人に外注しているそうです。
私は十川さんの個展で気に入って、何色かあった中からこの黄色系のバッグを妻の誕生日プレゼント用に買い求めたのですが、素人ながら欲をいえば持ち手の皮革がもうすこし厚ければバランスがいいかなと感じます。