エゾホウオウゴケ

 

漢字で書くと蝦夷鳳凰苔。鳳凰は孔雀に似た中国の想像上の鳥ですが、なるほど鳥の羽を思わせるようなかたちです。ホウオウゴケ科ホウオウゴケ属エゾホウオウゴケという苔です(Fissidens  bryoides)。鳥海山でも低・中山域の湿った日陰の岩などに生えているまあふつうの苔ですが、さわやかな緑色または黄緑色の色合いといい、ユニークな形といい、とても風情のある美しい苔だと私は感じています。

ホウオウゴケの仲間は世界で900種ほどもある大所帯だそうですが(日本には約40種)、葉が茎に2列に羽状に並んでいるのが共通した特徴です。またホウオウゴケ属では、葉の基部に葉が折り畳まれて重なる「腹翼」という特有の構造をもっています。

湧水を調べていると種々さまざまな苔に出会いますが、このエゾホウオウゴケなどといったごく一部の苔をのぞけば、私には正確に種を特定することができません。一見したところ同じように見えても細部や顕微鏡レベルで異なることが多く、「○○の仲間かなぁ」くらいのところまで言えてもそれ以上に歩をすすめることは不可能です。肉眼で識別できるような大きめでかつ多彩な色と形の花が咲く、一般的な植物とはそこが決定的に異なります。

じつは私も苔には興味があって、むかし図鑑などを一式買い込んだことがあるのですが、知れば知るほど種の特定が難しく、ほどなく挫折してしまいました。顕花植物にくらべれば愛好者ははるかに少なく、いくらかでも知識を身につければ渋すぎる趣味としてちょっと自慢できるんでしょうけどね。

 

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