刃物にはなぜか惹かれるものがあります。実際になにか切ったり削ったりする具体的な目的があって入手することも当然ありますが、数本に1本くらいは刃物そのものの魅力に負けてつい財布の紐をゆるめてしまうことも。写真の鉈もそのひとつです。刃付け以外には磨きや化粧などいっさいほどこしていないところがいいです。実用本意ということですね。
酒田市の打刃物製造販売の池田太四郎商店謹製の鉈で、以前に工房用に包丁を購入した際に、店の片隅に置いてあったものを衝動買いしたものです。質実剛健ということばがぴったりの、荒々しい魅力にあふれています。刃長195mm、全長400mm、重さは690g、刃の峰の厚さは8mmもあって、ものすごく頑丈そうです。裏は材木に食われないように大きく空いてあります。裏にお店の刻印に並んで3という数字が打ってありますが、刃幅が59mmなので3寸鉈という意味でしょうかね。値段は忘れてしまいましたが、1万はしなかったと思います。いわゆる「手作り」刃物で、この価格はけっして高くありません。
ずっと前から市販の量産品の鉈も持っており、いつもはそれを使っているので、この新しい鉈はまだ未使用です。使うにはまず専用の鉈ケースも作らないといけません。むきだしでは危ないし、刃が欠けたりしたら困ります。