チェーンソーは機構上、常に刃そのものが潤滑油で濡れている必要があるため、材木等を切断する際にそのオイルが材料に付着してしまいます。したがって家具や木製小物などの製品を作るのにチェーンソーを直接用いることはないのですが、不要かつ大断面の残材を整理する時などにチェーンソーを使うことがたまにあります。
工房や自宅から離れた遠い野外で使うのであれば当然ガソリンエンジン式のチェーンソーが必要ですが、こうした機械はある程度頻繁に使い続けていないといざというときにうまく動かないことが多いです。燃料も潤滑油も入っているのにうんともすんともいわないことがある。ほったらかしにされた車と同じです。またガソリンエンジンの場合、運転音がかなりうるさい。排気ガスも出ます。木を切っていない間も長時間作業を中断するのでないかぎりエンジンをアイドリング状態にしていなければならないなど、なかなか扱いがやっかいです。最初にエンジンを始動するのがなんとかうまくいっても、一度止めると再起動にてこずることも珍しくありません。
その点、電気モーターで動くチェーンソーなら、100Vの電源コードをつなげさえすればいつでもすぐに簡単に使うことができます。潤滑油(チェーンオイル)は必須ですが、あとはとくにメンテナンスというほどの手間もありません。個人的には材木を切断しているとき以外はまったく無音であることがいちばん気にいっています。エンジン式のチェーンソーのように機械に追い立てられている感じがありません。唯一、欠点といえるかどうかは分かりませんが、電源がかならず近くになければならず、電気コードが足下に常に伸びていることです。気をつけないとコードを材料といっしょに切ってしまったり、コードに足を引っ掛けてしまうおそれがあります。
当工房でもエンジン式のチェーンソーはあるのですが、案の定めったに使わないために調子はよくありません。アマチュアユースの安い機械だということもあるかもしれませんが、これでは単に「ストレス製造機械」にしかならないので、数年前にマキタの電動チェーンソーMUC401を導入しました。非常に快適です。それまでのチェーンソーを使う際のおっくうさが無くなりました。もっともチェーンソー自体はエンジン式であれモーター式であれ、材料からの反動が多かれ少なかれあり、40cmの長いチェーン刃がむき出しになっているなど、基本的にかなり危ない機械であることには変わりがありません。
※ エンジン式の本格的なチェーンソーはマキタからも何機種か出ています。ひょっとするとチェーンソーの専業メーカーのOEMかもしれませんが、新しいモデルなどは見た目もなかなかいいしスペック的にも魅力があります。しかし値段も高く(7万前後)、仕事でも私用でもほとんど出番はなさそうですね。