黒柿孔雀杢&スポルト


材料置き場の整理をしていたら超弩級のクロガキ(黒柿)の板が出てきました。上がいわゆる孔雀杢といわれるもので、ただでさえ希少・貴重な黒柿の中でもさらに最高度の杢板です。材料単価としてはおそらくいま世界で最も高価な材料のひとつでしょう。

写真は2枚並べて撮ったのですが、写っている部分の実際の長さは約30センチです(全長は116センチ)。製材したままのやや荒れた肌でこれだけ密な紋様ですから、仕上削りをし塗装すればきっと見事なものになると思います。ただし厚みは残念ながら12ミリしかないので、作れるものが限られてしまいますが。

下のものは最近では欧米にならってスポルトとよばれる変わり杢です。焦げ茶の細い筋がいくつも入っていて、その線の区画内がうっすら青みをおびています。こちらも写っている部分の実長約30センチで、厚さは10ミリです。

スポルトはカエデ類やトチなどにはわりあい見かけますが、黒柿のスポルトはきわめて珍しいです。孔雀杢のような黒い紋様と違って、このスポルトは要するに材が水湿+腐朽菌とで腐れかけているということです。たまにこのような紋様を見ることはあっても、ほとんど例外なく木地がすでにぶかぶかしていることが多く、それではもちろん製品にはなりません。写真の材料は同様なものがもう1枚あるのですが、どちらも木地はしっかりしており、通常の加工にじゅうぶん対応できそうです。

仕入れたのはたぶん15〜20年前。材料の取り扱い量が現在よりずっと多かったし、私以外に数人働いていた頃で、材料の一枚一枚までは私自身がしっかりとはチェックしきれなかったかもしれません。

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