神代ナラのキーホルダーを塗装中

 

鳥海山の頂上にかけての山体が約2500年前に大崩壊し、その岩雪崩の一部は日本海にまで押し寄せました。わずか10分かそこらで海まで達したらしいので、山腹や山麓の森林もほとんど一瞬にして土砂・岩石に埋没してしまいました。そのため腐る暇もなく土中に存在することになった樹木の遺骸が、近代現代になってから土木工事などの際にたまに地上に顔を表すことがあります。こうした樹木(木材)は「神代木」と一般に呼ばれています。

樹木がもともと材中に持っている成分と、埋没した際の周辺の土壌成分とが化学反応を起こして材料を芯まで染めてしまうことがあります。写真の神代ナラもそのひとつで、ミズナラやコナラが豊富に持っているタンニン分が土壌の鉄分と反応してタンニン鉄となり黒く染まっています。一見すると黒檀のようです。人工的に染めたり着色したりしたものとは異なり、深く落ち着いた雰囲気があります。

ただし2500年ほども地中に埋もれていた材木が急に空気にさらされることで、ほとんどはびっしりと亀裂が入ってしまいます。そんなわけで用材として利用できる神代木はきわめてすくなくまた高価なものとなります。写真のキーホルダーは、酒田市内で長らく指物師をされていた方から20年以上も前に譲ってもらった板からこしらえているものですが、やはり大元の板はひび割れがひどくて、ごく一部がペーパーウェイトの材料になっただけで、大半は捨てざるをえませんでした。しかし厚みが20〜25mm程度はあり、干割れの程度が比較的いいものは取っておいたのですが、いつまでもそのままにしておいてもということで、当工房の定番的小物では最も小型のサイズとなるキーホルダーを作ることにしました。とりあえずは33個です。

2回目の下塗りの塗装を終えたところです。底面にはO2という打刻印をしています。このあと上塗りを2回施して、穴にステンレスのリングを通せば完成です。

 

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