日本大歳時記一一九六頁日短
[にほんだいさいじき せんひゃくきゅうじゅうろくぺーじ ひみじか] 私が持っている歳時記は3種類。定番中の定番ともいうべき角川学芸出版の『合本 俳句歳時記 第四版』、同じく角川の『角川俳句大歳時記 全五巻』、そして講談社の『カラー図説 日本大歳時記 座右版』である。最後のは1983年刊行で、そのときの値段が12000円。これは古本をインターネットで探して数年前に購入したものだが、届いたものを見ると裏表紙に「創立30周年記念 ◯◯特許事務所」との箔押しがあるが、汚れのまったくない(読んだ形跡のない)新品同様の本である。記念にもらったはいいものもとりたてて俳句に興味関心があるわけではないしということで古書店に売っぱらったものであろう。おかげで私は半値くらいで入手することができた。/なにしろ大判で1675頁もあるので、大型の国語辞典に匹敵する重さがある。そのくせ活字は文庫版の『合本 俳句歳時記 第四版』よりさらに小さい。これではたしかによほど俳句にのめりこんでしまった者でないかぎり持て余してしまうだろう。
貧乏神ぬすみ見ている日向ぼこ
[びんぼうがみ ぬすみみている ひなたぼこ] 神様なのにありがたみもなく、貧相で、迷惑なだけなような貧乏神。しかしたぶん、そこには一神教のような単純明快な世界観および人生観ではない、はるかに複雑で玄妙な宇宙が顔をのぞかせているような気がする。単に「名声や富、財貨に浮かれていてはいけないよ」といういましめだけでなく。
餅ふくるるはいつもアンシンメトリー
[もちふくるるは いつも あんしんめとりー] ずっと昔の話になるが、わが家では正月の朝起きてまず子供たちがする仕事が餅を七輪で焼くことであった。餅そのものは暮れのうちにお店に頼んでまとめて買っておくのだが、正月にはそれをあぶって焦げ目がすこしだけ付くようにしてから雑煮にすると香ばしくておいしいのである。/雑煮だけではしだいに飽きてくるので、きな粉餅にしたり、餡ころ餅にしたり、醤油+砂糖+海苔の餅にしたりを気の向くままくり返しているうちに、はや七日も過ぎてしまうのであった。いまのようにお菓子など豊富にあるわけもなかったので、焼き味噌おにぎりや、焼いて醤油を少しつけただけの餅がおやつがわりでもあったのである。