スチールのひな壇

当工房で作った木製の雛壇について3/18にご紹介しましたが、作り替えることになったもとのスチール製7段の市販の雛壇が写真のものです。一段あたりの幅や奥行き・高さなどは、今回オール木製で作り替えたものとだいたい同じですが、これは全体で7段あります。すべて鉄の折板でできていて、それぞれのパーツをボルトや、パーツ同士の凹凸などで組立・固定するようにできています。

筋交いにあたるものも2カ所にありますが、鉄板がごく薄いこと、とくに骨組みの強度不足のためにへなへな・ぐらぐらします。素材が薄いのは全体の重量を軽減する意味もあってやむを得ないかもしれませんが、どうにも納得できなかったのが鉄板の切り端の処理。シャーリング(切断)もしくはプレスで打ち抜いたままで、まったく後処理がなされていません。バリが残ったままです。

これは非常に危険で、組立や分解・収納時に素手でさわったらまちがいなく怪我をします。お客様も手を切ったことがあるそうですし、最初私が参考までに拝見させていただいたときも、事前に注意をされていたにもかかわらず指先をほんのすこしですが切ってしまいました。

全部組み立ててしまえばそれなりに安定し自立するのですが、それまではふらふらするし、うっかり触ると怪我をするおそれがあるなどのことから、雛祭りの時期になると気にはなりながらも設置がとてもおっくうで、結局見送ってしまったこともたびたびあったとか。それはそうですね。私も寸法等の確認・検討のために工房で組み立ててみて実感しました。

お客様がこのスチールの雛壇を買われたのは約30年前ですが、いくらその昔とはいえこういう危ないものをよく製造販売していたものです。今なら製造物責任法(PL法)でまちがいなくアウトです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA