湯ノ台の石油鉱井の跡

 

鳥海山の南面、湯ノ台地区の一画に古い石油採掘の跡があります。麓の集落の上草津をすぎて、くねった道を北のほうに車でのぼっていくと10分弱でまた人家が見えてきますが、湯ノ台高原にある戦後の開拓集落である湯ノ台です。もうすこし行けば鳥海山荘や家族旅行村、猛禽類保護センターなどの施設があるのですが、建物が見えはじめた最初のところで左側の木陰に三角形の赤いあやしい建物が……。

湯ノ台という地名からもわかるようにこのあたりには鉱泉があるのですが、小さな橋をわたって敷地内に入るとかすかに石油の匂いがします。一面にススキが繁茂しており、その間に間に真っ黒の土壌がのぞいています。地表に滲み出て堆積したアスファルトで、夏場の暑い時は靴がずっぽりはまってしまうので要注意です。

これは昭和9年(1934年)、日本石油により試掘、昭和16年頃には豊富な石油鉱床が発見され、昭和18年には約2万kl/年の原油が採取されたそうです。しかしながら戦時中の濫採によって急激に枯渇してしまい、昭和21年以降は2000kl/年以下にまで減ってしまいました。現在はまったく稼働されていません。

この付近では古来(縄文時代から?)より地表面に石油の兆候がみられ、アスファルトの採取→接着・防水・防腐剤などに利用されていたといいます。油層は深度350〜500mの北俣層上部にあるとのこと。

赤い三角屋根の建物は当時の資材庫か採掘した原油の貯蔵庫だったかもしれません。現在は使用されていませんが、地表にはいまもこの敷地内や周囲一帯で石油がわずかながら出ており、それが地下水や河川などを汚染するおそれがあることから、この建物よりだいぶ下のほうに汚染防止のための新たな処理施設があります(関係者以外立ち入り禁止)。

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