釜磯のポットホール 2

 

鳥海山西端の釜磯は、10万年前くらいに鳥海山の大平付近から流れ出した吹浦溶岩の先端部分です。日本海の中までその溶岩流は及んでいますが、Cの字状に溶岩で囲まれた釜磯の北西部分の露出した岩肌の上には、7月10日の記事で紹介したように径80cmほどのきれいな円形のポットホールがあります。たぶんかつては波打ち際にあったものが、1804年の象潟地震であたり一帯が隆起したために地上2mほどの高さにあらわれたものと思われます。

そのポットホール自体も、私が知ったのは1ヶ月ばかり前のことにすぎないのですが、つい先日そこからさらに西側約10m先の波打ち際に巨大なポットホールを発見してしまいました。

大きさは長径(東西)180cm、短径(南北)130cm、深さは90〜120cmあります。海水面に対し内部にたまっている水面は20cmばかり高い位置にありますが、たぶん満潮時には同じくらいの高さになり、波が高いときは内部に海水が容易に浸入すると思います。

中に大きな岩塊が3個はまっていて(120×80cm、90×40cm、70×40cm)角は摩耗して丸くなってきています。小さな石も多数底にありました。大波が来るたびに中の岩がグリグリ動いて、穴の側面と自分自身を削っていくのでしょう。中の岩がきちきちで大きすぎるためか、穴もすこしいびつな形になっていることや、すでに完成したポットホールと、いま形成されつつある”現役”のポットホールのふたつを同所で観察できるのはすごいことです。

ただし足元の岩は海蝕によりぎざぎざに尖っており、転んだりしたら怪我(裂傷、骨折など)が必至かと思いますので、くれぐれもご注意ください。カッコを気にしないで四つん這いくらいの体勢で行ったほうが間違いがないと思います。ジオガイドでの一般客の案内は避けたほうがいいでしょう。

 

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釜磯の湾の北東側。中央の大きな岩塊の下部亀裂3カ所くらいから地下水が湧き出ている。海水浴客がスイカやキウリなどを冷やしていることがある。

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7/10の記事のポットホール。その後の雨でまた水がたまっている。右がすり鉢状に完成したポットホール。左は一帯が2mほど隆起したために、ポットホールになりそこねた窪みと思われる。

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今回みつけた大きなポットホール。穴の中の水面は海水面とほぼ同じ。

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ホールの東側。

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ホールの西側

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ホールの南側で、海面にいちばん近いほう。波が非常に高い場合以外は左上に向かっての亀裂+最低鞍部から海水が入るように思われる。

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ホールの北側。

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パン皮のようにヒビがたくさん入った溶岩も丸く削られている。

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釜磯の湾から南側の景。海岸線の上を鉄道の羽越本線と国道旧7号線が通っている。それへの落石を防ぐために線より東側の海蝕崖はコンクリートが吹き付けられているが、線より西の海側の海蝕崖は溶岩がそのまま露出している。節理が発達しており、絶好の観察ポイントである。

 

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