黒柿ブックマッチの象嵌完了

 

4月10日の記事で、黒柿ブックマッチの木口薄板のことを紹介しましたが、これを蓋の一部に象嵌して箱物を3つ作ることにしました。仕上がりの形状としては例によって角形被蓋刳物です。

左右対称の2枚の薄板なので、まず1mm程度の極薄板を裏に貼って一体化。それからベースになる厚板の母材(37mm厚のオニグルミの柾板)に象嵌部分の凹みを掘り込み。深さは象嵌する黒柿材の厚さより0.2mm程度浅くします。象嵌の材は四方の縁(厚みの断面)をほんのわずか下向きに勾配を付け、母材に圧入したときに圧縮気味に収まるようにします。その精度は数値でいうと、凹みより象嵌材を縦・横とも0.1〜0.2mmくらい大きめにするのがポイントです。

今回の象嵌は、猫の顔のようにも見える偶然に現れたおもしろい模様なので、やり直しはできませんし、また欲しいと思っても入手不可能な材料です。そのためいつも以上に慎重に作業をしましたが、3組ともうまくでいきました。象嵌の出っ張りはあとで鉋で削り最終的にはサンディングペーパーで面一に均すのですが、あまりきれいに収まっているので、逆にプリントかなにかのように思われてしまいそうです。

蓋の裏側にはすでに実(み)に被さるだけの掘り込みも終えていますが、写真は象嵌の周囲の余白はまだ仕上がり寸法より一回り以上大きい状態です。

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