ショートケーキのような

酒田市内の某地区に並ぶ建売住宅(?)。狭い敷地に建ぺい率ぎりぎりに建てられた総2階建ての住宅。外壁の色や屋根の向きなど若干の違いはありますが、ほとんど同じような設計と建材で作られていることが分かります。

こういった住宅群は「ショートケーキのような建物」といって貧しく悪しき建物の典型例のように語られることが多いです。でも、しかたがないと思います。もっと広い敷地に、一軒一軒が自由設計でゆったりと建てることができれば、もしそれが可能なら、誰だってそのほうがいいに決まっています。しかし今の日本でふつうの勤め人がそれを実現することは非常に困難です。

ショートケーキのような建売住宅であっても通勤通学に支障のない市街地なら、土地と建物その他の諸費用合わせて2000万にはなります。その費用の大半を銀行などからの借金でまかなうとすれば、年収は最低でも500万くらいないと無理でしょう。それも今現在だけでなく今後すくなくとも20~30年を通じてです。むろん途中で勤め先が倒産などという事態があってはなりません。

年収500万なんてへでもないような建築家や評論家が批判する「ショートケーキ論」はお気楽なたわごとです。問題は狭小で画一的な住宅群ではありません。それは表層的な結果論でしかないのですから。もっと根本的な、政治や経済のしくみ、土地本位制的な文化基盤をこそ問題とし批判しなければならないと思います。

 

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