10月の個展に向けて、昨年末頃から一品物の蓋物を中心に製作していますが、定番的な小物類(10個単位での複数生産品)の場合のような紙箱ではなく、専用の木箱に収納・保管をし、お客様にお渡しします。一品物は必然的に値段も高くなりますし、実用を越えて飾り物として利用されることも多いので、傷が付かないようにしっかりした専用の箱が一対一で必要です。
入れる品物に対して箱をあまりきっちりに作ると取り出しにくくなるので、指が差し込めるように20mm前後の適度な余裕をもたせることと、品物よりは比較的柔らかく軽めの材料である必要があります。この手の箱にはキリ(桐)が用いられることが多いのですが、当工房では現在キリは使っていないことや、他の用途でふだん使用している材料のほうが都合がいい(無駄が出ない、在庫管理が楽)ので、今回も材料はスプルス(ベイトウヒ)です。北米産の針葉樹ですね。
写真はそのために木取→分決めした板ですが、厚さは7.5mmと5.5mmの二種類。ごらんのとおり無地の柾目の板で、保管用の箱には良すぎてもったいないと言われることがあります。たしかに建具用の特等クラスの45mm厚×4m長さの板をバンドソーで挽き割って作った板ですが、じつはそれ以外のグレードのスプルスは持っていません。大量に箱を作るのであればそれ用の材料を別に仕入れたほうがいいんですけどね。材料単価がまるで違いますから。