前回(2/14)に続いて最上級の黒柿の木取・下拵えの第二弾。第一弾は丸形でしたが、今回は角形です(単純な長方形ではありませんが)。大小合わせて3点を作るつもりでいます。黄色いマスキングテープを貼って、大きさのバランスや杢の具合を検討。
いちばん大きいのはA4サイズ強の大きさがあり、10月の個展における目玉のひとつになるかと思います。手持ちの黒柿材で製作可能な最大級の寸法です。33mm厚の孔雀杢の厚板を掘り込んで箱蓋にします。実のほうは対照的にほとんど黒の入っていない材料を用いるのですが、それはそれで入手が非常に困難な材料。
カキノキは黒い紋様が入っていてこそ重用されるので、それがほとんどないような白っぽい材は返り見られることはまずありません。とくに幅広で厚めの板となるとめったにないのが実状です。人により感覚・美意識は異なることを承知でいうと、私としては蓋も実も全部細かい杢の入った箱ものでは、立派を通りこして過剰であり、くどい、品がないという感じになってしまうと思っています。
黒柿にかぎらず他の樹種でも基本は同じで、実のほうにはむしろ標準的なふつうの材料を用いることによって、それと比べて蓋をご覧になっていただいた方に「こんなに違うのか。とても同じ木とは思えない」と感じてもらえばいちばんいいかなと。木という自然素材の不思議さと魅力を伝えたいと常々考えています。