鳥海山の湧泉 1998~2010年

鳥海山の湧泉・湧水について1998年から現在まで個人的に調べてきましたが、総合地球環境学研究所の中野孝教さん(教授・理学博士・同位体環境学の世界的権威)の求めに応じて、そのデータをファイル(A4判34p)と地図にまとめました。

湧泉の位置や水温や水量概量などのテキストデータ、湧泉の写真178枚、1/25000地形図に湧泉ポイントを落としたマップが4枚です。10年以上前の記録もあるので記憶があいまいな部分も若干あり、その後の記録との整合性や場所を10m程度の誤差で特定するためにたいへんな作業に。まるまる1週間はかかりました。

タイトルは1998~2010年となっていますが、じつは2002~2008年分がごっそり抜けています。これまで子どもから大人まで、一般の人から研究者まで、のべ3000人くらいを鳥海山の湧泉や湧水の渓谷などに案内してきましたが、他の人に説明や案内をしていると自分自身の調査や記録はなかなかできません。それで相手が学生や研究者の場合などは、その日の水温などの基本的データだけは後日私にもリターンしてくれるように頼むのですが、まず来たためしがありません。また住居を引っ越しした際に記録の一部を紛失した可能性もあります。

そうしたことで鳥海山の湧泉の記録としては不十分なものですが、それは上記の理由のほかにこうした個人的かつ非専門家の記録がそれほど重視されていないという一般的傾向もあると思います。たしかに私は水門学の専門的な勉強はしてきていませんし、中野教授のようなナノレベルでの水質分析などはおよぶべくもありません。

しかしまずは鳥海山のどこに湧泉があるのか知らない事には話になりませんし、水温などは現地におもむいてそのときに計らないといけません。水質を分析するにしても水を所定の方法で採取してこないといけないわけですね。既知の湧泉で、車ですぐ近くまでアプローチできるところはさほどの苦労でもありませんが、完全に山中の未知の湧泉を探しながらの調査は、はっきり言って並大抵の作業ではありませんし、遭難のおそれも少なからずあります。

そうして得たデータの意味や価値を、今回は正当に評価していただいたことに感謝したいと思います。来年度以降(2011/4~)の調査に向けての準備も始めています。

※今回の『鳥海山の湧泉 1998~2010年』は仕事として研究所に納品したものです。一般には非公開ですのでご了承ください。控えとして手元に一部ありますので、ご希望があれば閲覧はできます。

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