コーヒーブレーク 63 「ツクモジマ」

 

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御山はどこへもいかず神無月

私は無宗教者である。ナントカ教というような世俗的宗教にはいっさい興味がない。いやもっと正確に言うならば宗教こそはこの世の最大の元凶のひとつであると考えているので、無宗教よりも反宗教というほうがあたっているだろう。しかしながら、というかだからこそというか、この宇宙はじつにうまくできておりきわめて精緻かつ奇蹟的存在であると強く感ずる。世俗的な神や仏などといった人工的なつまらない概念でせっかくのこの宇宙を汚したくはない。

流星の水しぶきをあげて夜半の風

空気の存在をふだん我々は意識することはあまりない。しかしほんの1分でも呼吸を遮断されてしまえばあわてるし、それが5分にもおよべば死んでしまう。地球に飛来する宇宙のほんの小さな欠片が流星となって人の目に見えるのも、地球の外郭には空気があり宇宙の欠片がそこを猛スピードで通過する際に摩擦熱で燃えてしまうからである。小さな物体であれば途中で燃え尽きてしまうが、比較的大きな物は燃え尽きることなく地表に到達する。もし空気がなければみな流星は流星として見えることもなく。そのまま地表や海面に激突するわけである。/流星の多くは彗星がまきちらした宇宙のゴミで、ほとんどは大きさ数ミリ、重さも1g以下。ただし速度は秒速40kmほどもあるので(時速にすると144000km)、それで空気中の粒子にぶつかって熱を発する。

冷まじやヒロシマフクシマツクモジマ

島という語がつく地名はとても多い。都道府県名だけでも福島・広島・徳島・鹿児島県があり、市町村名にあっては枚挙にいとまがないほど。島はシメであり、周囲から隔絶されたある一定のかたまりのことだろうから、市町村やさらにそれより小さな集団が島を名乗るのは当然ではある。暴力団が「うちらの島を荒らしやがって〜」と怒ったりするのもその類いか。/九十九島は、もっとも一般的には長崎県の佐世保市から平戸市にかけての北松浦半島西岸に連なるリアス式海岸の群島のことである。島の密度としては日本最大ということで、実際の数は208もあるという。秋田県にかほ市象潟地区にも九十九島があるが、こちらは約2500万年前の鳥海山北面の大崩壊で、浅海を埋めて多島化したものの、1804年の大地震で隆起して陸地となってしまった。今は水田の中に多数の「島」が点在している。/しかし同じ漢字であっても「くじゅうくしま」ではなく「つくもじま」と読むこともあり、やはり百貨店や百科全書と同類で、実際の数量を意味するのではなく、ともかく非常に数量や種類が多いという意味だ。日本全体として考えればまさにわが国はつくもじまですね。

 

(※ 写真は鳥海山麓の箕輪地区牛渡川近傍にある丸池様。直径約20m、水深3.5m、湧水のみでできている池である。水面にまわりの樹木が映っている。)

 

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