タモの共木の幅広板

 

 じつは下記の文章等は1年ほど前に下書きとして書いて保存したものです。ところがその後このタモの材料を用いて、酒田市のSさんのテーブルを作らせていただいたので、記事として公開するタイミングをなんとなく逸してしまいました。しかしながらそのこととは別に、内容的には材料仕入れに関わる普遍的な課題をわりあい詳しく書いているので、その意味であらためて復活掲載することにしました。

 


今はまずありませんが、10数年前までは木材は丸太の原木で購入し、こちらが希望するように製材してもらうのが基本でした。柾目に挽くのか板目にするのか、耳付きでいいのか耳を落とすのか、角材か平板か、寸法はどうするのかといったことがかなりの程度に自由になるからです。ただ製材には必ず立ち会う必要がありますし、挽いてもらうそばから材料にシリアルナンバー(連番)や厚さなどを大急ぎで記入するなど、いろいろと手間がかかります。一人では困難で、当時は助手(弟子)がいたからできたことです。

原木の値段は、挽いて乾燥してありすぐに使える木材、すなわち材木屋さんとしての「製品」と比較すると驚くほど安いです。場合によりものによっては2〜3割くらい。それもそのはずで、まず当たり外れがあります。丸太の値段はあくまでも外観からの判断で売り買いするので、いくらベテランであっても外れることはあります。その意味では半分ばくちみたいなもの。また製材賃や乾燥費用がかかりますし、実際に家具などに使用できるようになるまでの時間や保管場所や養生の手間も必要だからです。

いちばんなじみの地元の材木屋さんが製材事業から撤退したこともきっかけですが、諸々の手間やリスクを考えると、結局必要な材料をそのつどその時に「製品」で購入したほうがいいという結論になりました。価格は高くても外れはほとんどありませんし、無駄なく使えるからです。保管や、使用見込みと実需とのギャップに悩むこともありません。

それで下の4枚の写真ですが、1997年に丸太で3本購入して製材してもらったタモの一部です。あらかたは使ってしまったのですが、この長さ2.6mの板はそのなかでももっとも上等な部類になります。同一の原木からの連番の板なので、当たり前ですが木目はよく似ています。人工乾燥済みです。

厚さは42mm、幅は480〜550mmですが、長さは両木口の割れをのぞくと2200〜2340mmとなります。できれば同じ寸法にカットして2枚剝ぎでテーブルの甲板にすればもっとも活きると思います。その場合は長さ2200、奥行き(幅)900mmが最大寸法になるでしょうか。木裏を上向き、木表を下向きに使うのが原則なので、木表の面にわずかに残った耳などは完全に除去したとしての寸法です。とくに家庭で使われるテーブルの場合は、長さは部屋に置けるかぎり大きい方がいいのですが、奥行きは850〜900mmくらいが使いやすいと考えています。

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