古材からの家具の木取

 

お客様からおあずかりしていた建築の解体材から、文机2卓と、小さめの戸棚1台の木取をなんとか終了しました。筑後何十年も経っているマツ材の梁だったのですが、割れがたくさんあり節も多かったので、長さ1.3〜1.8mほどにカットした梁5本をほぼすべて使ってしまいました。

量的には木取を終えた材料と使用不可の材は、比率でいうと1:2くらいにもなります。木取はとうぜん仕上がり寸法より厚みも幅も長さも大きめにとってあるので、最終的に家具となる部分はさらに減り、元の素材全体の2割くらいになりそうです。また、古材なので切削の途中で釘などの金物や砂利などが出てこないか心配していたのですが、小さな釘が2本あっただけで、それも早めに気づいて除去したので、バンドソーや鉋盤の刃物を欠いたりしないですんだのは幸いでした。

このように古材を再利用して家具等を製作するのは、材料の歩留低下や加工の手間の増加、刃物を痛めるおそれなど、さまざまな難点があります。それでいて元の材料がよほど特別でかつ超一級の材料でもないかぎりは、新材で作るのにくらべ仕上がりはいまいちの感じとなってしまうことが多いのも事実です。すなわち客観的経済的な観点からだけでいうならば、けっして「お得」ではありません。

しかし、ものの価値はいうまでもなく経済的側面だけで決まるわけではありません。上記の問題を充分にご理解していただいた上で、思い出の深いまたは由緒ある古い木材を活用・再利用していくのはたいへん有意義なことだと思います。家の持ち主などがとくべつに強く希望されないかぎり、いまは建築の解体材はすぐ焼却処分されてしまうだけですから。

下の1枚目の写真は最後の梁をまず芯のところで半割した後に、手押鉋盤と自動鉋盤とで3面を均しているところです。高さ21cmもある角材ですが、ふだんの家具作りではこんな大きな寸法の材料を削ることはまずないのでちょっとびっくりしますが、機械のほうはなんなくスムーズに削ってしまいました。次にバンドソーで板に挽き割るのですが、製材所の大きなバンドソーのように材料を爪で固定して台車ごと移動して切るのではなく、単に材料を手で持って押して切るだけの簡略な小型のバンドソーなので、材料自体が不安定な形状ではたいへん危険です。そのためのいわば前処理です。

2枚目の写真は戸棚1、文机2のすべての部材を木取したところです。まだラフな状態なので、これから一次下拵えをしていきます。

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