コーヒーブレーク 45 「ラフテレーンクレーン」

 

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座布団ほどの緑野ありぬ枯野中

鳥海山の湧水について個人的に調べ始めてから、もう15年くらい経つが、地面の中から出て来たばかりの水はおおよそ10℃前後ものが多い。私が実際に自分で計測してもっとも低かった湧泉の水温は3.9℃で、もちろんそれは雪解け水などではない秋口の温度である。どうしてこれほど低い水温が保たれているのか不思議だ。/そうした湧水があるところは一年中凍結することはないので、他とくらべると相対的にはかなり温度が高い。そのせいだろう、周囲は一面の枯れ色なのにその一画だけが青々としていることがある。水中や水辺の苔であったり多年草などが繁茂している。鳥海山の中腹域では、普通ならその標高にはありえない低地の植物が生えていることもある。暖かい湧水が豊富にあることで何百年だか何千年だかをそこで生き延びてきたのだろう。

 鉄塔の鎖骨の細き余寒かな

高圧電線の鉄塔などはその高さにくらべると骨組みがずいぶん華奢なように思う。むろん実際にはコンピューターなども駆使して、大型台風や大地震などにも耐えるだけの充分な強度を保持しているに違いない。安全係数をどのくらいでみているのかは不明ではあるものの、いずれにしても必要以上に頑丈にまた重くしても、費用がかさむばかりでなく過大な自重による悪影響も出てくるので、あの細さで大丈夫ということだ。

口吻の伸びては縮みラフテレーンクレーン

ある俳人が「俳句で絶対失敗する言葉」なるものをインターネット上で書き連ねていたことがあって、それの筆頭格のひとつがクレーンだった。筆者いわく、クレーンという言葉を使った俳句をしばしばみかけるものの陳腐・常套的で、一度も佳句に出会ったことがない。だから使わないほうがいい、と言う。たしかに使いづらい言葉というものはあるが、だからといっていい句などできるはずがないと断ずるのは俳人としてはあるまじき認識であり言い草だろう。角川俳句賞を得ている女性だが、なにかにつけ口調が偉そうなのである。実際のところは単に個人的な好き嫌いや得手不得手を述べているにすぎず、それをさも普遍的真理のように脚色しているだけの暴論である。/さてラフテレーンクレーンである。クレーンにはとうぜんながらずいぶん多くの種類があるのだが、基本的には定置型と移動型、そしてその移動にクローラ(キャタピラー)を使うか車輪(ホイール)を使うか、といったところだ。ラフテレーンというのは不整地ということで、そうした場所でも走行可能な大型のタイヤを供えたクレーンである。ラフタークレーンともいう。

 

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