六花湯の花にからみ沈みけり
ものすごくというほどではないが温泉は好きだ。自宅から車で10〜30分程度の範囲内に10カ所近い温泉があるので、ときどき子どもも連れて温泉に入りに行くことがある。上の写真は鳥海山南面の標高500mほどのところにある国民宿舎鳥海山荘の温泉のすぐ近くから撮ったもの。かなり前の年の写真だが、1月中旬に雪景色の中で露天風呂から眺める夕焼けがたいへん印象的だった。ただここの温泉はそんなに広いものではないので、曜日や季節・時間帯を選ばないとあまりのんびりできないのが難点である。/湯の花は温泉の不溶性成分が析出・沈殿したもので、源泉の泉質によってさまざまであるが、硫黄や硅素、鉄、カルシウム、アルミニウムなどが主なもの。析出量が多いところでは、その成分だけを捕集して乾燥させ、容器に詰めて商品として販売しているところも少なくない。それを自宅の風呂にでも入れれば手軽に温泉気分にひたれるという売りなわけであるが、むろんそれは温泉という要素のごく一部分にすぎない。
白い車に斑雪黒い車に斑雪
冬も終わりに近づき気温が上がってくると、雪は重く湿った牡丹雪に変わる。降ってもそのまま積もり続けることがなく、降るそばから溶けてしまう場合もあり、そのようなまばらに積もった雪や溶けかけの雪のことを斑雪(はだれゆき)と呼んでいる。/歳時記ではこれを春の季語としているのだが、これなどもやはりもっと暖かい地方の話であって、北国・雪国では牡丹雪であれなんであれ、雪が降るような日が続いているかぎりは冬である。12月1月にくらべれば日が長くなり、たまに晴れれば気温が上がるとはいえ、せいぜい5度くらいで一時のこと。まだまだ寒いし、2月3月になっても頻度こそ下がるとはいえ吹雪いたり水道が凍結することもある。そういった心配がなくならないかぎり春とはいえない。
鳴声を投擲しつつ帰白鳥
山形県庄内地方には、最上川の河口をはじめたくさんの白鳥が越冬にやってくる。日本全国では毎年6〜7万羽のコハクチョウ、オオハクチョウがやってくるというが、その中でも最上川河口に近い両羽橋付近にはなんと9000羽ほども飛来し、日本一の数だとか。早いものは10月には飛んで来て、冬の間この最上川や近辺の河川や湖沼ですごしている。日中は餌を求めて山間にまで飛んでくることも多く、枯れ色の田んぼにハクチョウが大勢群れをなしている光景や、朝と夕方にカオカオと鳴きながら人家などの上空を行き来する音声もすっかりおなじみのものとなっている。/3月下旬くらいには再び繁殖地・営巣地であるシベリアへと旅だっていくのだが、その際の鳴声はやはりすこし物悲しい気がする。