これはアマゾンから届いた荷物を開けたところです。段ボール箱の大きさ325×250×115mmに対し、中に入っていた品物はそのパッケージを含めても100×75×75mmの大きさしかありません。ためしに計算してみたところ容積率ではわずか6%。重量も箱の封を開けてみるまでは中が空かと思うような軽さです。けれども私はこれを批判しているわけではありません。「空気を運んでいるみたいで無駄だ。けしからん」などという見当ちがいな文句は言いません。逆に、通販の最大手ともなると考えることが違う、あっぱれとあらためて感じました。
送付する商品に合わせてできるだけ無駄な空間が生じないように小さめの段ボールに封入したほうがいいと思うのは、たとえば個人や当工房のような弱小零細企業であればまったくその通りでしょう。送料がぜんぜん違いますからね。しかし、毎日ものすごい数の商品を梱包し発送するような大企業の場合はその論理は必ずしもあてはまりません。Aという商品に対しaの箱がいいのかbの箱がいいのかcの箱がいいのか…といちいち試行錯誤していたのでは時間ばかりかかってしかたがありません。もちろんアマゾンとて梱包用の箱は何種類もあるはずですが、できるかぎり種類を絞って、はじめからまちがいなく収まるであろう大きめの台紙に商品を載せラップでくるみ箱に入れてしまったほうがはるかに迅速確実です。
余計な空間がいくらあっても、商品は台紙ごと熱収縮フィルムでラップされ、そのまま箱の底にホットメルト接着剤でくっつけてあるので、箱の中で商品があばれて破損してしまうおそれはまずありません。段ボールの蓋もよく見ると妻手のほうの蓋は大きく斜めに面取りをしてあり、長手の蓋と干渉しにくいように作ってあります。おそらくですが、商品を台紙に手作業で載せた以降はあとは自動でラップと箱入れ・封緘・ラベリングをしているのではないでしょうか。
箱の大きさがそろっていれば自動化もしやすいし、それをパレットや車に積載するのも簡単です。トラック等の荷室にどれだけの数の荷が入るのかも事前にかなりの精度で予測できるでしょう。当工房みたいにバンやトラックに家具が入るだの入らないだのと何度もトライしてみる必要はありません。たしかに個々の品物でみれば、たとえば上の写真のようにえらい空隙が生ずることはあるでしょうが、物流全体のコストでみれば、そんなものは微々たるものです。