コーヒーブレーク 29 「領土」

 

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天の川さびしき人類住めるなり

惑星に生命が発生する可能性はものすごく低いという。学者にもよるが、サイコロを1万回投げて同じ目が1万回続けて出るくらいの確率だとか。つまりそれはほとんど確率ゼロといっていい話で、現在地球にこれほど多種多様な生き物が栄えていることは奇蹟そのものといっていいだろう。しかも9割以上の生物がいちどに短期間に絶滅するような激甚な天変地異を幾度もかいくぐってきてのことだからなおさらである。/ごくわずかな確率であるにしても宇宙に文化と意識を持つような高度生命体が存在することは否定はできないが、距離的に地球からあまりにも遠く離れていて行き来に何万光年・何億光年もかかるのであれば、それは実際的には存在しないことと同義である。

人類の並び立てたる風車

私が住む地域にも風力発電用の大きな風車がいくつもある。現在主流の定格出力1.5〜2.5メガワット/時の風車の場合、羽の回転直径は70〜80m、タワーを含む全体の高さは100〜130mというから、おそろしいくらいの巨体である。遠くから眺めているぶんにはその大きさをなかなか実感できないが、もっとずっと小規模の風車でさえその足元近くまで寄ると驚くばかりの大きさと高さに圧倒される。さほど風が強くないときでもその「うなり声」にはすこしく恐怖感をおぼえるほどだ。

二百余の領土ありけり秋の暮

前にも触れたが、現在日本が承認している国は195カ国。しかし「国際的に他の多くの国からは承認されていない国」や、海外領土・自治地域などを含めると計249カ国とも。これはISO 3166の定義による「カントリーコード」の数でもある。 かつての列強による植民地などはあらかた独立したし、先般のスコットランド独立をめざす騒ぎ(国民投票を実施)にみられるように、まず安定的にみえる国家でさえも分裂の可能性は常にある。/国の数はこの先さらに増えていくのか、それとも日本における自治体の合併のようにいつかUターンして減っていくのだろうか。個人的には「自分たちのことは自分たちで決める」精神で細かく分離独立しながらも、たがいにその存在を認め自由に行き来できるのがいいなと思うが。

(※ 写真はスギの倒木の根株にびっしりと生えたスギヒラタケという茸。本来は食用菌だが薬との副作用で死亡する事例があったことから、今はほとんど見向きされなくなった。虚子に<爛々と昼の星見え茸生え>という句がある。)

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