古材の梁など
東京のお客様から、古材を再利用して家具を作りたいとのご注文がありました。亡くなられたお父上が若い頃住まわれていた宮城県内の実家を解体した際に出た梁や柱などから、なんとか使えそうなものを選んで、当工房につい先日運送屋さんから届けてもらいました。上の写真がそれです。角材が5本、板が2枚で。材質は角材の1本がケヤキで、あとはたぶんスギです。大きさは最大のもので22×32×173cmで、しかもホゾ穴やひびわれなどもけっこう入っています。
きれいに洗ってから試しに挽き割ってみないと断言はできませんが、単純に客観的に経済的価値だけで評価するなら、率直に申し上げていくらにもならないと思います。またこれから板や小角を取って家具を製作するとしても、折れた釘等の異物をかんでしまう心配もありますし、もろもろの手間を考えるなら新しい材料で作るよりもかえって高くつくおそれが充分あります。
しかしものの価値は、言うまでもありませんが経済価値や市場の商品価値だけで決まるわけではありませんし、それが他の価値より優先するわけでもありません。いくら古くても傷や汚れがついていても、それは人が長年愛着をもって使われてきた証です。ましてそれが身内ならば、思い出のよすがとなるような家具としてもう一度なんとか活かせないだろうかと、お客様は考えられたわけですね。
私としてもさまざまな不安がないといえばうそになりますが、まあこれまでの知識と技術を総動員して、うまく仕立てるしかありません。