小さな座卓
これは東京都の方からご注文をいただき、つい先日納品した座卓です。材質はクルミで、大きさは幅640mm、奥行480mm、高さ320mmという小ぶりなもの。甲板は準無地板の2枚矧ぎ。幕板と脚の接合はいつものように小根付き通しホゾにクサビを打ち込み、ホゾ頭を1.5mm出しで仕上げています。また写真ではわかりにくいと思いますが、甲板(天板)の長辺がR9000、短辺がR7000のごく緩やかなカーブを描いています。
通常のよくある座卓だと幅1350〜1500mm、奥行800〜900mmくらいなので、甲板(天板)の面積でいえば1/3〜1/4ほどしかありません。しかしながらお客様のお言葉によれば「その小ささがいい」とのことでした。たしかに大きくてきちんとした作り、立派な座卓はありますが、小さくてもきっちりと作ってある座卓というのはあまり見かけませんね。小さいと材質や作りも粗末なのが多いです。
ただしそれにはそれなりの理由はあって、寸法がいくらか違っても製作の手間はたいして変わらないので、まともに作るとサイズの小さな家具はどうしても割高に感じられてしまうからです。上の座卓も、甲板の大きさが1/3〜1/4だからといって値段も通常の大きさの座卓の1/3〜1/4でできるかといったら決してそういうことはありません。したがってそのへんの事情をすんなりとご理解いただけるごく少数の方からの需要しか見込めないわけです。
自分で作っていながら自分で言うのもなんですが、こういった小さくて一人で簡単に移動もでき、置き場所や用途をあまり選ばない小さな座卓はなかなかいいものですね。意外に実用的でもあり、また愛らしい感じがします。
※ ご注文いただいたお客様から即日お礼のファックスをちょうだいしました。たいへんありがたく、うれしいです。⇒「素敵なテーブルを作っていただき、ありがとうございます。色合いもとても気に入りました。大切に使います。」