※※ タイトルの入力が先日来うまくいかないので(ブログソフトのバグ?)、とうぶんの間「タイトルなし」とし、本文冒頭に見出しをすこし大きく付けることで代用とします。
コーヒーブレーク12 「薄羽白蝶」
畑打つや縄文土器を砕きつつ
日本列島は氷河期の到来とともに何度もその陸地面積を広げ、また氷河期が終わり温暖になるにつれやせ細ってきた。海水面の高さは現在より100m以上も下がることもあれば、逆に50mほども上がることもあった。50mも海面が上昇すれば庄内平野は一部の砂丘をのぞいてほとんどが海の底にあったことになる。しかし最後の氷河期が終わる頃、約60〜50万年前に鳥海山は噴火を始めてその山体を膨張させつつあり、その噴出物や、最上川や赤川・日向川などからの大量の土砂の運搬によって現在の庄内平野にあたる浅い海は徐々に埋め立てられ陸地化していった。/縄文時代は今からおよそ16500〜3000年前のことだが、この地域では半ば陸地となり湿地状態となった庄内平野の外縁部、すなわちやや標高が高く堅固な地面のところに人々は居を構えた。縄文時代という名前はこの時代に作られた代表的な土器が縄目模様を付されたものが多かったことに由来するが、その高度な器の製作技術や、発掘されている数々の遺物からは、原始的で粗野な生活・社会というのではない、ずいぶん発達した高度かつ柔軟性もある暮らしぶりであっただろうことが推察される。/かつて縄文のひとたちが暮らしていたであろう場所は今は畑作地になっていることが多く、鍬や鋤で地面を打っているとしばしばがつんと硬いものに当たることがある。石ころだけでなくそれは土器や石器の破片であったり、やじりや手斧であったりすることも珍しくない。ただ現在ではトラクターなどで一気に耕すことがふつうだから、土器などがあったとしてもみな砕かれてしまうだろう。
もう少し眠らせておけと主峰かな
ひとまとまりの山塊やいくつもの峰をもたげる連峰だけでなく、規模の大きな単独峰であれば、その盟主なり主峰はこのピーク、準主峰はこのピーク、支峰はこのピークと名付けたくなるのは人間の性というものかもしれない。主峰か否かは、ボリュームの大きさや見てくれの安定感や重厚さなども重要な要素なので、必ずしも標高が最も高いピークが主峰とは限らない。/「山眠る」が俳句的には冬の季語とされているので、すなわち里は春を迎えていても高い山々はまだまだ冬の真っ最中なのである。
空気の重さに抗えり薄羽白蝶
ウスバシロチョウ(薄羽白蝶)はモンシロチョウよりいくらか大きいくらいの蝶だが、シロチョウの仲間ではなくアゲハチョウの仲間。したがってウスバアゲハと呼ぶこともある。/私は小学生から中学生の時分に蝶採集に熱中したことがあり、なかでもこのウスバシロチョウは大のお気に入りであった。翅が半透明で白く、春先に低空でゆっくりと飛翔する姿はとても優雅だ。他の多くの蝶のようにはたはたと激しく翅をふるわせながら飛び続けるのではなく、数回はためかせてはすーっと滑空をくりかえすその飛び方も独特で、遠くからでもすぐにそれがウスバシロチョウであることが分かった。食草もケシ科のムラサキケマンやエゾエンゴサク、ヤマエンゴサクといった、いわゆるスプリングエフェメラル(春の妖精)であり、卵で冬をこし2〜3月に孵化、蛹は繭の中に作るという生態も興味深いものがある。しかしながら絶滅とまではいかないにしても個体数はずいぶん少なくなったように思う。