除雪機

YAMAHA(ヤマハ)の小型除雪機です。YS870Jという機種で、除雪能力は1時間あたり50トン、除雪幅715mm、投雪距離16mといったところ。エンジンは空冷4サイクル単気筒251ccで、6.3kW・8.5馬力。普通のオートバイ並みのエンジンです。除雪機というと赤く塗装されているものがほとんどですが、YAMAHAの除雪機はメーカーのカラーであるコバルトブルーで統一されています。赤色よりも新鮮で、逆に目立ちます。

工房の敷地はおよそ100坪くらいあります。工房は平屋のトタン葺きで、約50坪。その大きな屋根から落ちる雪ははんぱな量ではありません。降雪が多い日だと落下した雪で窓が塞がってしまいます。もちろんそのままでは室内がうす暗くなってしまいますし、ガラスが割れてしまうおそれもあります。また今は地方においては生活に仕事に自動車が必需品なわけですが、降った雪をそのままにしていたのではその車が出入りできません。

かくて雪かきは否応無しにしないといけない冬期間の必須作業ですが、以前は私以外にも助手やら見習やらがいたので「人海戦術」で除雪を行っていました。重労働にはちがいありませんが、数人で手分けして行えば30分くらいでだいたい終わります。ところが私一人で木工の仕事をするようになってからは、あまりにもそれはたいへんで、えらく疲れるだけでなく体のあちこちが痛くなってきました。時間的にも日によっては雪かきだけで半日以上終わってしまうありさまです。

これではいけません。除雪機はけっして安い機械ではありませんし、直接モノを産み出すわけではありませんが、雪かきに多大な時間と体力を費やしたのでは本末転倒です。弱小零細木工所にとっては胃が痛くなるような値段でしたが(約40万)、4年前の冬に、思い切って購入しました。

導入してみると、やはりいいですね。とても楽です。もちろん雪を削って投げ飛ばす刃はむき出しですし、飛ばす雪の方向や場所を選ばないと建物や車や人を傷つけてしまいます。除雪機本体の進行と雪のかき出しとその雪を飛ばすのと、同時に3〜5つくらいのレバーを操作しないといけないので、慣れないと難しいです。極端に湿った雪はシューターに詰まってしまいますし、屋根からの膨大な落雪や、大型の除雪車が道路を運行して両側に小山になった雪などを、うちのような小型除雪機で安全かつ手早く処理するのはけっこうなノウハウが必要です。

これまでたとえば2時間はかかった雪かきが、機械を導入したことでせいぜい20~30分で済むようになりました。体力的にも何分の一かです。ただ予想外だったのは、人手でやっていたときは基本的にはあるいは常識的には自分のところの敷地内とその敷地に面した道路だけでよかったのですが、除雪機を持つようになってから近隣の住人や村の人からそれよりもうすこし広い範囲の除雪を暗黙裡に期待されるようになってしまったことです。具体的には工房とは反対側の広い路側帯(幅5m以上)、地域の集会所の駐車スペース、ゴミ集積所の周辺などです。農家の方がトラクターを使って除雪をすることもあるので、私が毎日必ずしなければというほどではなく、まあ半分くらいの分担ですが。

近隣の人たちを見ていると、個人で除雪機を購入・稼働しているところはごく少数です。ご老人がたが一生懸命に手作業で雪かきをしています。たいへんだけど手でなんとかなる、若い人は日中働きに出ているからその間おじいさんやおばあさんがやる、といった感じなのです。当工房よりはたぶん経済的余裕もありそうなのですが、除雪機なんて「もったいない」ということでしょうか。

その結果、除雪に要する時間は以前と大きくは変わらず、ふつうの降雪時で1〜2時間といったところ。ガソリンが月に2000~4000円くらい。これも言うなれば地域に対するボランティア、社会貢献のひとつです。

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