※※ タイトルの入力が先日来うまくいかないので(ブログソフトのバグ?)、とうぶんの間「タイトルなし」とし、本文冒頭に見出しをすこし大きく付けることで代用とします。

手づくり家具作家図鑑

 

DSCN1785_21992年に山と渓谷社から発刊された本で、『ウッディライフ』という雑誌の別冊判です。もう20年以上も前の本ですが、その当時全国で活躍していた木工家や小規模木工所が73掲載されています。この種の本は、表向きの説明とは違ってじつは作家のほうがお金を出して掲載してもらう、つまり実態は広告集でしかない場合が少なくないのですが、これはそうではありません。『ウッディライフ』は季刊〜隔月刊だかで出ていた木工関連の雑誌の最大手の雑誌で、その情報網を駆使して全国から木工家がピックアップされています。

私も工房名=オーツーの名前で掲載されているのですが、その頃は地元の新聞やミニコミ誌やテレビなどから取材されることがときどきあったので、それが編集部のほうにどこかで伝わったものと思います。もちろん掲載料(広告料)などはまったく支払いしていません。巻頭のカラーページにキュリオケース(飾り戸棚)とトールチェスト、本体のモノクロページで見開き2ページに7点の家具が載っています(下の写真)。

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じつはつい先日、お得意先におじゃましたおりに「昔いただいた本をあらためて読んでるんですけど」と言って差し出された本がこの『手づくり家具作家図鑑』だったのです。そういえば著者割引でこの本を20冊ほど購入して、日頃お世話になっている方に進呈したのでした。昔のことで私もすっかり忘れていたのですが、あらためて読んでみるといろいろと面白い再発見がありました。

全体的にはいわゆる「作家物」が多数を占めており、タイトル通りに「手作り」の雰囲気がたいへん濃厚です。生活の道具としての実用性だけでなく、木工家の作為を前面に打ち出したテーブルとか椅子とか戸棚などですね。なかにはほとんどオブジェと化してしまい、家具としての意味・機能を失ってしまったものも。まあ木材を素材に、モチーフを家具にしたアートもあっていいのですが、しかしながらその観点でみれば中途半端で完成度は高いとはいえません。現代美術の世界では木を素材としたすごい作品がいろいろありますから。

ほとんどの木工家が、お客様からの注文で作る場合が大半のようですので、その依頼が他の木工家ではなく自分のところにあったということをアピールするためにも、なにほどかのオリジナリティは必要かと思います。しかし、お客様のほとんどは「作品」ではなく「家具」が欲しいということでしょうから、実用性や機能や耐久性を犠牲にしてまでの「個性」は本末転倒でしょう。

当工房では、さりげないけれどよく見ればあるいは実際に使ってみれば作り手の意図が静かに伝わってくる、というあたりを基本的な方針にしているので、その目でみるとみなさんかなりの程度に過剰ですね。もちろん控えめな作風で、作りがしっかりしていて、見た目に美しいと私が感じるものもあることはあるのですが、全体の2割弱くらいでしょうか。

DSCN1786_2それにしてもこの本が発刊されたのは1992年ですから、それから今年で22年目になるわけで、収録された73の木工家・木工房で、今も現役で活躍されている方がどれくらいいるかは心もとない気がします。狭い世界なので、ずっと続けていればどこかで名前がきこえてくるものですが……。

 

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