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ブナの丸太

 

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庄内町のSさんからブナの丸太をいただきました。ご自宅の庭に植えたブナが大きくなりすぎて日陰になって洗濯物が乾かない、建物のすぐ近くの位置にあるため根張りによる基礎への影響が心配、といった理由で自力で伐採したのだそうです。Sさんとは山登りの関係で知り合い、また以前家具のご注文をいただいたこともあるという間柄です。

払った枝も含めて全部もらいうけたのですが、樹齢25年ということで、いちばん太い幹の部分でも目通り20cmくらいの太さ。これをどう活用するかですが、放置したのでは乾燥によるひび割れや、生材ゆえの変色や虫食いの恐れがあるので、早急になんらかの処置をする必要があります。いちおうお話をいただいたときに考えていたことはあるのですが、それがうまくいくかどうかは試験してみないとわかりません。

ブナはすこし高い山間部にはまだ生えていますが、ほとんどは国有林内にあり通常は伐採はできません。かつての営林署時代(今は森林管理局?)のように、公共財のはずなのに自然林のブナ等の樹木を勝手に民間に払い下げてめちゃくちゃ皆伐してしまったという悪行・悪夢を再現してはいけません。したがってブナが材木市場に出てくることも今はほとんどなくなったので、日本産のブナは逆にたいへん貴重なものとなっています。

 

タモの共木の幅広板

 

 じつは下記の文章等は1年ほど前に下書きとして書いて保存したものです。ところがその後このタモの材料を用いて、酒田市のSさんのテーブルを作らせていただいたので、記事として公開するタイミングをなんとなく逸してしまいました。しかしながらそのこととは別に、内容的には材料仕入れに関わる普遍的な課題をわりあい詳しく書いているので、その意味であらためて復活掲載することにしました。

 


今はまずありませんが、10数年前までは木材は丸太の原木で購入し、こちらが希望するように製材してもらうのが基本でした。柾目に挽くのか板目にするのか、耳付きでいいのか耳を落とすのか、角材か平板か、寸法はどうするのかといったことがかなりの程度に自由になるからです。ただ製材には必ず立ち会う必要がありますし、挽いてもらうそばから材料にシリアルナンバー(連番)や厚さなどを大急ぎで記入するなど、いろいろと手間がかかります。一人では困難で、当時は助手(弟子)がいたからできたことです。

原木の値段は、挽いて乾燥してありすぐに使える木材、すなわち材木屋さんとしての「製品」と比較すると驚くほど安いです。場合によりものによっては2〜3割くらい。それもそのはずで、まず当たり外れがあります。丸太の値段はあくまでも外観からの判断で売り買いするので、いくらベテランであっても外れることはあります。その意味では半分ばくちみたいなもの。また製材賃や乾燥費用がかかりますし、実際に家具などに使用できるようになるまでの時間や保管場所や養生の手間も必要だからです。

いちばんなじみの地元の材木屋さんが製材事業から撤退したこともきっかけですが、諸々の手間やリスクを考えると、結局必要な材料をそのつどその時に「製品」で購入したほうがいいという結論になりました。価格は高くても外れはほとんどありませんし、無駄なく使えるからです。保管や、使用見込みと実需とのギャップに悩むこともありません。

それで下の4枚の写真ですが、1997年に丸太で3本購入して製材してもらったタモの一部です。あらかたは使ってしまったのですが、この長さ2.6mの板はそのなかでももっとも上等な部類になります。同一の原木からの連番の板なので、当たり前ですが木目はよく似ています。人工乾燥済みです。

厚さは42mm、幅は480〜550mmですが、長さは両木口の割れをのぞくと2200〜2340mmとなります。できれば同じ寸法にカットして2枚剝ぎでテーブルの甲板にすればもっとも活きると思います。その場合は長さ2200、奥行き(幅)900mmが最大寸法になるでしょうか。木裏を上向き、木表を下向きに使うのが原則なので、木表の面にわずかに残った耳などは完全に除去したとしての寸法です。とくに家庭で使われるテーブルの場合は、長さは部屋に置けるかぎり大きい方がいいのですが、奥行きは850〜900mmくらいが使いやすいと考えています。

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クライマー

 

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わが家の飼い猫アル(Albiflora ラテン語で白い花の意)が本棚に爪をひっかけてロフトに登ろうとしています。最近になって覚えた方法で、ロフトに上がるルートはもっと簡単な別ルートもあるのですが、あえてちょっとめんどうな選択をしています。つまり高さ2.4mのクライミングをして遊んでいるわけですね。

 

約2年前に捨てられていたのをもらいうけた猫なのですが、非常に活発で運動神経もすぐれています。1mくらいは簡単にハイジャンプしますし、空中で180度体の向きを変えるなんてことも朝飯前。見てのとおりで贅肉がまったくありません。体重は2.8kgです。

ところがこのアルは獣医さんの診察によると心臓の弁膜がやや肥大していて、軽度の狭心症だとのこと。それで月に一回ほど診察と薬をもらいに行っています。外観からは想像もできませんが、ペットにも人間同様いろいろ心配があります。

 

丸形の被蓋くり物6点完成

 

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前回2月下旬に引き続き、旋盤を使って製作中だった被蓋くり物の残り6点が完成しました。基本的には10月の個展に出品する予定のものです。素材はいちばん右側の1点はオニグルミの変杢(鶉杢)ですが、他はみな黒柿です。黒柿は紋様がはっきり出るように鏡面塗装仕上ですが、オニグルミは半艶です。

形態としては全部被蓋の器ですが、実の下部だけを蓋の径と同寸にした、変形の被蓋も2点作りました。個々の詳細については近日中にまたあらためて紹介します。

 

コーヒーブレーク 73 「分厚きところ」

 

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如月の眼映りし研刃かな

如月は陰暦二月の名前だが、語源としては寒さがぶりかえして着物をさらに重ねて着ることから「着更着(きさらぎ)」とする説がいちばん有力のようである。ほかには気候が陽気になってきて「気更来」「息更来」や、草木が生え始める頃なので「生更木」、芽が張り出す「草木張り月」の転化とする説も。新暦(陽暦・太陽暦)では3月半ば頃から4月の半ばであることを考えれば、まあそれぞれに頷けるものはある。/一方、二十四節気は太陰暦で一年を二十四等分としてそれぞれの区切りと区切られた期間に名前をつけたもので、かなりいい加減というか、あくまでも方便・便宜的なものである。例えば「立春」は新暦では2月4日頃であるが、二十四等分にしてしまったからそう名付けただけのことで、実態と合っているとはとてもいいがたい。これは以前にも言及したことだが、2月初めといえば厳寒期で、すくなくとも当地では一年でもっとも寒さのきびしいときである。それを「立春」だから春が来たとは強引すぎるだろう。日が伸びてきたというなら、冬至をすぎた12月の終わり頃からすでにそうであるし、12月、1月でもたまに天気がよくて温かい日があり、それはべつに2月初めからのことに限らない。/春めいてきたということと、春そのものであるということの区別を、他人(中国)がこしらえた暦ではなく己の実感でしっかり把握することこそが季節の移り変わりに敏感になるということであろう。

薄氷に分厚きところありにけり

薄氷を「うすらい」と読むことは、二十年近く前に俳句を作りはじめてからはじめて知った。俳句特有・限定の読みかと思っていたが、調べてみると食べ物やガラス細工等にもわりあいよく用いられているようである。/俳句で薄氷を「はくひょう」「うすごおり」と読むことはむしろ稀で、たいていの場合「うすらい」と読むのは、五七五の音調に合わせて「薄氷や」「薄氷の」という具合に使いたいとする俳人の都合上のことだろう。や・の、などを使わないで薄氷を5音で使いたい場合は「うすごおり」とするわけで、俳句はなかなかにくせものである。なお、薄氷は冬ではなく春の季語。もう氷が張るにしてもすぐ溶けてしまうような薄い氷しか張らないくらいには暖かくなってきたな、ということで。

超高層マンション背面より春の雨

高層住宅は住人の健康上マイナス面が多い、という話もいろいろ聞こえてくる。単純に考えて、いちいち階下に上り下りするのはめんどうなので、あまり外に出歩かなくなるからという理由もあるが、もっと別の複雑な理由もあるらしい。ほんとうのところはどうなんだろう。超高層というほどではないが、知り合いでそういう高い建物に住んでいる人もいるので、こんど聞いてみようかね。/個建住宅だと防犯上のおそれがあるとか、多かれ少なかれ庭があることによってその手入れにも手間暇がかかってたいへんという人もいるが、私はやっぱり個別の住宅のほうがだんぜんいいな。庭なども虚勢や見栄を張らなければまあ適当でいいし。

 

早くも雪形が

 

つい数日前に鳥海山を眺めてびっくりしました。笙ケ岳(1635m)の南西斜面の雪形がはやくも現れています。「種まき爺さんと3羽の鴉」で有名な雪形です。鴉はともかく種蒔爺さん(種蒔婆さん)のことはたいていの方が知っているでしょう。いつもの年だと4月後半頃になって出てくる雪形ですが、なんと今年はそれより1ヶ月以上も早い出現です。

今冬は12月〜1月は降雪・積雪が少なく、1月の終わり頃から2月はじめにようやく連日のように積雪があったとはいえ、大雪というにはほど遠い量で最低気温もほとんど0℃を上回っていたので、積もった雪もほどなく消えてしまいました。雪形の異様にはやい現れもそのせいかもしれません。昨年は梅雨時もあまり雨が降らなかったので、夏場は農業用水の水不足で困った事態となりましたが、この調子ではへたすると昨年以上の渇水に悩むことになるかもしれません。心配です。

気になったので、自分で撮影した鳥海山の春の写真を2012年まで遡ってみました。ただし雪形の確認ということで当時撮影したわけではないので、時期も撮影場所もばらばらですが、それでも今年の山の雪の少なさははっきりわかるかと思います。この6枚の中では最後の写真(2012.4.12)が今年のものにいちばん近い状態ですが、1ヶ月も後のことですね。

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2016年3月10日

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2015年4月8日

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2014年4月1日

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2013年3月28日

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2012年3月8日

 

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2012年4月12日

 

お客様からの時計のお便り

 

兵庫県宝塚市のK様からメールと写真が届きました。掲載の承諾を得ましたので当ブログにてご紹介します。

写真はリフォーム工事を終えて新しくなったK様のご自宅です。すてきですね。なぜかわが家とも共通する点が多いです。壁にかかっている時計は、お買い上げいただいた当工房の掛時計001です。お部屋の空気ととてもよくマッチしています。この時計がお客様のお目にとまり、新居に迎えられることになったいきさつ等については、下記のコメント(メールより一部抜粋)をご覧ください。K様、まことにありがとうございました。製作者冥利につきます。

この時計は現在在庫切れとなっていますが、10月に開催する個展に向けてまた製作するつもりでいます。これを含む定番的な時計についてはブログの2010.11.24の記事を、ユーランダケアエという大きな掛時計については2010.11.21の記事をごらんください。

 

引用家は中古物件をリフォームしたのですが、ナチュラルな素材の物がよくて、漆喰の壁と無垢の床材や建具にしました。部屋の雰囲気に、大江さんの時計がとても合うな~と気に入っています。

以前掛けていた時計は、ローマ数字の時計で、昔、気に入って買ったのですが、デザイン先行で見にくくて子供には解読できずに困っていたので、見やすいけどシンプルでオシャレな時計が見つかって良かったです。

木工房オーツーさんのサイトを見つけたのは、たまたま3歳の息子に時計の写真を見せようと、Yahooで時計を検索し、画像を見ていたときに、ユーランダケアエ?という時計を見つけたのがきっかけでした。シンプルなのにカッコいいなぁ、と思ってそのままサイトにお邪魔したら、残念ながらそれはサイズも大きく、売り物ではありませんでしたが、おかげで今回の時計と出会うことができました。」

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スノードロップ

 

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このところずいぶん暖かくなって、日中は10℃を越えることもあります。平地からは積雪がほとんど消え、わが家の庭からもすっかり雪が消えてしまいました。それであらためて見てみると、庭の片隅にスノードロップ(マツユキソウ・待雪草)が白い小さな花を咲かせていました。背丈は10cmちょっとくらい。ヒガンバナ科ガランサス属の植物で、ヨーロッパからコーカサスの原産だそうです。むろん庭のは妻が球根を買ってきて植えたもの。

よく似た名前で、さらに暖かくなって後から咲く白い花のスノーフレークがあり、私も最初はそれと混同していました。そちらは同じヒガンバナ科ながらもスノーフレーク属で、よく見れば花の形(→吊鐘・鈴蘭型)や雰囲気がスノードロップとは異なります。

 

旋盤で蓋物6点製作中

 

10月に地元の酒田市の画廊(清水屋デパート内)で個展を行なうので、それに向けて木工品を作っています。今回は家具ではなく、一品ものの小さなものがメイン。指物ではなく主に厚板を掘り込んで蓋つきの器・箱にします。これは古来より「くり物」と呼ばれています。形は丸形・角形・変形・具象形といろいろ。樹種も顕著な杢がでていたりスポルトであったり、いずれもちょっと普通ではない特殊で高価な材料ばかりです。

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一品ものだけで30〜40点は必要とみているのですが、完成したのはまだ十数点にすぎません。旋盤を用いた点対称=丸形の蓋物は先月に7点こしらえたのですが、その続きでまた6点製作中です。材料は黒柿が5点で、オニグルミが1点。写真は旋盤加工を終え、ペーパーがけをした状態ですが、材料の厚さが30mm前後とそれほどあるわけではないので、基本的にみな被蓋です。大きさは直径10〜13cmほど。

丸形の蓋物ばかりではしょうがないので、旋盤加工による品物はこれで一旦終わりとします。来月あたりから角形や変形の蓋つきのくり物を製作する予定でいます。

 

愛犬の骨箱

 

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内容が内容だけに詳細は秘すことにしますが、ある方の愛犬のお骨を収納する箱です。火葬してもらった際の葬儀屋さん提供の骨箱が粗雑すぎてしのびない、ということで製作の依頼がありました。

合わせ蓋式で、材料はご希望の「できるだけ白っぽい色の木で」ということでハードメープルです(たまたまですが、縮杢も入った極上の材料。じつはハードメープルで手持ちの材料はそれしかありませんでした)。サイズは幅275×奥行170×高さ170mmで、天板の縦と横は黄金比の1:1.618です。蓋と実の側面の板は同一もので、天板と底板も含めて6面全体を組み立ててから、上から30mmところで上下(蓋と実)に切り分けています。かみ合わせの段欠の分と鋸厚の分とで6mmほどはずれていますが、こうした作りにすることで、側面の上下ならびに四周の木目が連続することになります。

また、すこし膨らみをつけた蓋の中央の凹みには、愛犬の名前と追悼句を電熱ペンで書き入れています(写真はまだ銘を入れる前の状態)。

当工房は注文家具がメインですが、納期とご予算が合うかぎり、だいたいどんなものでもお作りしますので、皆様なにかございましたらご一報ください。