コーヒーブレーク 2 「大白鳥」

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切餅も丸餅も入れ雑煮椀

雑煮に入れる餅は四角の切餅か扁平円形の丸餅か、焼くのか焼かないのか、汁はすまし汁なのか味噌汁なのか、具は何を入れるのか等々、じつにさわがしい。たしかに日本全国のそれを調べると、おおむね東日本は切餅で西日本は丸餅といった傾向はあるようだが、しょせんそれは味の好き嫌いの問題や慣れだろうから、どちらが正当か邪道かなどと目くじらを立てて論ずるようなものではなかろう。そういえば雑煮と同様、ここ山形県では全県的にわりあい盛大に行われる秋の芋煮の場合でも、牛肉か豚肉か醤油味か味噌味をめぐって、半ばけんか腰でしゃべる人がすくなくないが、ばかばかしい話だ。自分がおいしいと思えばなんだっていいじゃないか。二種類作っておかわりしてもいいしね。

人類このかた二十五億日年来る

人間の起源をどこと見なすかにより学者によって異論はあるが、もっとも古くみる人だとおよそ800〜700万年前に人類の祖先は生まれたという。仮に700万年とすればそれに1年365日を掛ければ約25億日となる。人類はそれだけの数の日没と日の出とを体験してきたわけだ。暦という概念ができたのははるかに後のことだが、一年中同じような気候ではなく、ある一定程度のサイクルがあることは太古の人類も感じていたにちがいない。

読初の字統字訓字通とぞ

正月になって初めて本を読むことが読初(よみぞめ)で、書初や乗初・売初・買初などと同類。昔は今と比べて本というものが非常に貴重かつ高価でもあったから、暇つぶしや単に趣味的に読書をするのではなく、ある理念や目的意識をもって本にのぞんだであろう。年の初めとなればなおさらである。『字統』『字訓』『字通』は漢文学・古代漢字学で著名な白川静(しらかわしずか1910~2006)のライフワークであった字書三部作の書名である。大学図書館でこの3本に接して心底驚いたが、全部そろえるとなると5万円近くするのでいまだに買えないでいる。私が実際に持っているのは簡易判の『常用字解』のみだが、ちなみに「人」は立っている人を横から見た象形であり、手足を広げて立っている人を正面から形が「大」であるという。

白鳥を持ち上げいたる御空かな

初御空であれば元旦の空の意だが、白鳥の姿も見えることだしニュアンスとしてはやはり元日かそこらあたりの空のこととしよう。白鳥は間近かで見るととにかく大きい。ときに恐怖を覚えるくらいだ。とりわけオオハクチョウは全長160cm、翼幅250cm、体重12kgに達することもあり、現に生きている空を飛ぶ鳥としては世界最大級の鳥である。寿命は20年ほどのようだ。遠目に見ているかぎりでは色もほぼ純白で、小さく軽く優雅に思えるが、実際はそんなやわな鳥ではない。

 

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