冬になるときまってひどい手荒れに長年悩まされてきました。指ががさがさになって、そのうちアカギレが生じていつも指先にうっすら血がにじんでいるというような最悪の状態です。もちろん市販のハンドクリームを塗るなどそれなりの対策はするのですが、効果はいまいち。
しかし、一昨年あたりからはそれがかなり軽減できています。それはまず手袋の着用です。手袋はごく薄いナイロン製で半面だけウレタンゴムがコーティングされている「組立グリップ」を作業時に極力使用します。柔軟性に富み手にぴったりフィットし、表面には指紋のような微細な凹凸があって適度な摩擦があります。縫い目のない一体成形なので、名前のとおり手袋をしたままでそうとう細かい作業も可能です。筆記もらくらく。機械・道具の冷えきった金属面にさわっても手がかじかんでしまうこともありません。
また刃物研ぎや水引きや雑巾洗いや雪かきなど水に直接触れる作業時には、防水透湿素材でできた薄手で柔軟性のあるウレタン製のゴム手袋「テムレス」をはめます。手袋をして刃物を研ぐという、これまでの概念でいえば非常識きわまりない行為もこのテムレスなら快適に行うことができます。すこし慣れれば研いだ刃先の刃返りもちゃんと手袋を通して分かります。水は通さないが湿気はある程度通放出するので、長時間ゴム手をはめたままでも手はわりあいドライな状態を保つことができ、それが手の荒れを防ぐようです。
手袋のほかに愛用しているのが下の写真の白色ワセリンです。なにやらチューブの右端に分子記号が書いてありますが、石油を分留して得られる炭化水素を脱色精製したものです。ワセリンはもともとはユニリーバの商標ですが、現在では世界的に一般名詞化しているとのこと。潤滑作用や皮膚の保湿効果があるので、アカギレや切り傷・擦り傷・火傷などに用いられるほか、各種医薬品や化粧品の基材としても広く使われています。
実際私が使ってみた感じでは、臭いなどはほとんどなく伸びがいいので、ほんすこしの量で指先をカバーすることができてます。ただ油分のそれとは異なるものの若干べとつきはあるので、よく刷り込んでから余分はティッシュで拭き取ったほうがいいようです。
薬局やドラッグストアでは驚くほどたくさんのスキンクリームが売られています。ビタミンや尿素やあれこれを配合したもので、その効果をうたってはいますが、皮膚の荒れなどを修復するのはおのれの身体自体であって、スキンクリームが直接直してくれるわけではありません。要するに外からの刺激を避けることができればいいので、香料とかなんとかよけいな成分の入っていない、変質しにくくしかも比較的安価でもあるワセリンを私は気に入っています。