東京都世田谷区の方から掛時計のご注文をいただきました。サワグルミ(沢胡桃)製で、時刻の目安をスリットで表した、直径12cmの小型の時計。当工房のいくつかある定番の時計のひとつです。
ただムーブメントは1秒ごとに歯車が断続的にすすむステップ式なので、静寂な環境でかなり近い距離でご使用される場合は、個人差もあると思いますがチッチッという音が気になるかもしれません。これまで実際にそのことによるクレームはありませんが、今回はお客様のご希望によりムーブメントをスイープ式(連続してなめらかに秒針がすすむタイプ)のものに交換しました。
写真はその際のもので、左が針やムーブメントを外した時計本体。紐は丸いヌメ革です。右側上の黒い色のパーツ類はそのムーブメントと針と固定用金具(ナット)ですが、金具は専用の変わった形のものなので、それを締め外しするには、やはり専用のねじ回しが必要になります。それが右下の木製柄のドライバーです。一般市販はされていないようなので、金物をあつかっているお店から特別に取り寄せてもらいました。
左の写真は左側がステップ式の、右側が今回交換取り付けしたスイープ式のムーブメントですが、外形寸法などは同一ながら、歯車の位置やコイルの大きさなど、微妙に違うところがあります。両方ともセイコーの子会社でセイコープレシジョン社製のもの。ムーブメントの精度や耐久性は、いうまでもありませんが時計の最重要部分なので、多少割高でも信頼のおけるメーカーと製品を選ぶことがだいじです。