獣にも腰痛頭痛霾ぐもり
[けものにも ようつうずつう よなぐもり]巷でよくいわれる「人間は二足歩行をするようになったために腰痛に悩まされるようになった」は、まったく間違いであるとの獣医師の言である。犬や猫や他の獣にも腰痛はふつうに見られる症状であると。とりわけペットとして飼われ肥満気味になった動物は、当然というか当たり前の話だが腰や膝などの関節を痛めることが多い。獣に腰痛はないかとても稀であると思われていたのは、要するに寿命が短かかったからである。そりゃ病気や怪我や他の動物の餌になってしまい若年齢で死んでしまったのでは、腰痛や関節通の発症には至らないのである。
あほうどり飛びゆけばデコイ首を垂れ
[あほうどり とびゆけばでこい くびをたれ]絶滅しかかったアホウドリをよみがえらせるのに、模型の鳥(デコイ)を置いてアホウドリをおびき寄せるという手法があるらしい。もちろんぱっと見てニセモノとわかるような粗雑なデコイではだめで、遠目には本物そっくりなデコイでなければならないだろう。それで実際飛来してきたアホウドリはもちろんニセモノであることに気づくのであるが、「やられた〜」と苦笑をもらしつつもだんだんその場所になじんでいくのであろうか。/カラスなどをみてもわかるように鳥はなかなか頭がいいので、本能で動くだけでなく生後に学習する部分が大きい。模型であるとはいえ自分とそっくりな鳥に囲まれているのは案外心地よいのかもしれない。
宝石のつとこぼれたり蜆蝶
[ほうせきの つとこぼれたり しじみちょう]シジミチョウやモンシロチョウなどの小型の蝶はなぜか春の季語であり、アゲハ類の大型の蝶は夏の季語となっている。それなら同じ種類の蝶ながら春型と夏型がある蝶や、成虫で冬を越すタテハ類の蝶はいったいどうするのかというと、強引に春と夏の両方の役を演じたり、「秋の蝶」「冬の蝶」となる。わざわざ秋だの冬だのという余計な言葉をくっつけないといけないのはあまりスマートではないが、それだけ春や夏にくらべれば蝶は激減することをうまく表しているともいえる。