ルータRP2301FC

当工房3台目の新品のルータです。といっても導入してからすでに丸2年経っていますので、それなりに使い込んでいます。マキタの電子ルータ RP2301FCという機種で、マキタの国内向けのルータとしてはいちばん新しいハイエンドのモデルです。それまでは日立工機のM12を2台使ってきましたが、ちょっとガタが生じてきていることもあって、新しい機種を1台追加しました。

スペック的には単相交流100V、15A、1430W、回転数9000~22000/分(無段階変速)、チャック孔径12mm、本機昇降範囲0~70mm、本体のサイズはW294×D155×H312mm、重量6.0kgとなっています。

スペックを見ただけではこの機種の特徴はよく分かりません。実際使ってみて感心するのは運転音が非常に静かなことです。もちろん木材を切削しているときは他のすべてのルータと同様かなりの騒音でイヤーマフが必要ですが、無負荷の状態では騒音とはいえないくらいの低いレベルです。試しにですが、モーターを回転させた状態で台の上に置き手を離しても振動で動くことはまったくありません(万一にそなえて刃を装着せずに行います)。

本体を上下動させるにはベースの2本のポールを手動でスライドさせるのですが、本体側にローラーベアリングを組み込んであるのとポールの精度がいいのかごくスムーズにに動かすことができます。片手だけでも楽に動かせるほどです。

本体下部底面にはLEDライトが付いているので、モーターのスイッチを入れると点灯し、スイッチを切ってからも十数秒ほどはライトは明るいままです。マキタのトリマーにもLED付きのものがありますが、それよりずっと明るい照明です。日立のM12にはもちろんLEDなど付いているはずもないので、刃先を視認し削り具合を見るのに手元照明を別に用意しないといけなかったのですが、この機種ではまずその必要がありません。

モーターのスイッチは右側のハンドル上部にありますが、押す+引くの2段階スイッチになっているので安全です。うっかりスイッチに触れて、というような事故を防止できます。モーターははじめゆっくりと回転し、2、3秒かけてフル回転に移行する「ソフトスタート」。スイッチを切ったときは反対に電磁ブレーキが働いてすぐに止まります。これまでの機械のような、スイッチを入れたとたんにガクンと衝撃とともにすぐに全開し、スイッチを切れば惰性でしばらくの間回りっぱなしの機械とは大違いです。

日立のM12はなにしろ1985年の工房開設以来の古い機種なので、集塵装置との接続はまったく考えられていませんでしたが、新しいルータではもちろん集塵が可能です。本体のベースに集塵アダプタを装着し、外部の集塵機とホースで接続します。切削条件と材料によりますが、ベースと切削材とがクローズの状態であれば切削塵は大部分吸い込まれてしまいます。あたり一面に木屑や木紛をまき散らす心配がなくなったのはありがたいことです。

全体としてはかなり上出来と思いますが、不満がまったくないわけではありません。それは切り込み深さの調整がやりにくいことです。M12の場合は単純にストッパーのポールを蝶ネジで締め付けるだけですが、RP2301FCではクイックスライドとか0.1mm刻みの微調整装置(マイクロアジャスタ)などが付随する、やや複雑な仕組みです。しかし機構にいろいろ工夫をこらしていながらも、その一方で各部の「遊び」が大きすぎるために、トータルではかえって調整をやりにくくしているような気がします。まあ慣れの問題もあるかもしれませんが。

値段としてはけっして安くはありません。税抜定価で57900円。ネット通販だと40000円くらいで入手できると思いますが、それでもいちばん高いほうの部類に入るでしょう。米国のメーカーのものであれば半値くらいのものもありますし、ホームセンターなどではなんだかよく分からないメーカーのものでさらに半値程度のものさえあります。しかし業務用で長時間・長期間使うことや、修理などのアフターを考えると、私はやはりマキタが安心です。

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