ブナのスポルト材

 

昨年の春に、庄内町のSさんからいただいたブナの丸太ですが、それをチェーンソーを使って二つに割り、鉋盤で削って太鼓状にしたものです。木口からの大きな干割れ部分はカットしたので全体的に短くなりましたが、長さ50〜100cmくらいの半割材が10本。厚みは60〜100mmです。含水率を計る木材用の水分計で計ってみるとまだ30〜50%という高い値を示しています。

ごらんのように本来は新材であれば淡黄褐色一色のものが、丸太で長く室内においていたせいか黒い筋や白っぽいところなど不規則で複雑な色合いと模様になっています。こういった材を欧米ではスポルトと呼んでいます。スポーツと語源は同じで「変わりもの」「特異なもの」といった意味があります。玉杢や縮みなどとはまた違った味わいがありますが、要するにこのままずっと放置しておけば腐ってしまうので、そうならないうちに乾燥させて木工の材料として活用しようという類いのものです。

変わった模様が半ば偶然生じていて、しかしながら加工に耐えないほど木地がぐずぐずになっているわけではないという絶妙なタイミングが必要で、使いこなすには難しい材料といえます。わびだのさびだのの情趣を強調する日本ではさほど好まれないスポルトが、逆に欧米のとくにターニング(旋盤加工の木工)界隈では非常に人気があるとというのもおもしろいところです。

写真の1枚目はいちばん長さがある材料の内面ですが、黒い筋がはっきり出ています。2、3枚目の写真は他の半割材も含めた、スポルト部分のアップ。

 

 

 

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