いちご飴もろうて片目の雪うさぎ
[いちごあめ もろうてかための ゆきうさぎ] 10日ほど前に雪が積もったら、さっそく子供たちが庭に雪だるまを作った。大小の雪玉をこしらえてそれを上下に重ねたオーソドックスな形の雪だるまである。雪だるまにもさまざまなバリエーションがあるが、結局昔ながらの形態のものがいちばんしっくりするように思う。もっと積雪が多くなると、これまた定番のかまくら作りである。/雪うさぎに関してはじつはあまり記憶がない。こちらはむしろ子供の遊びというよりも、大人が来客をもてなすときの遊び心の類いであって、お盆に盛った雪を軽く紡錘形に整え、眼はナンテンなどの赤い木の実で、耳はツバキの葉などで模したものである。たまに雪が降るような土地柄であればこその洒落であって、毎日のように雪かきに追われるような多雪地帯豪雪地帯ではそういう余裕などはないということだろうか。
小さきつらら氷柱より生まれそむ
[ちいさきつらら つららより うまれそむ] 昔ほどには氷柱をみかけなくなったような気がする。氷柱ができるには基本的には一度雪が溶けて水滴になり、それがまた冷気にさらされてすぐに凍るという条件がないといけない。屋根などに積もった雪が寒気がきびしくてずっと凍結したままではそもそもだめであり、気温がゆるみすぎて溶けて流れ出した水が再凍結することなくそのまま地面に落ちてしまってもいけない。そうするとここ庄内平野のように冬場の最低気温がすこしマイナスになるものの、日中はわずかにプラスに転ずることが珍しくないという気象条件こそが、氷柱ができる最適の条件であるのかもしれない。/しかし、氷柱を以前ほどには見かけなくなったということは、やはり全体的に温暖化(気候変動)が進行しているということか。
小春日やバーベルがわりに猫をあげ
[こはるびや ばーべるがわりに ねこをあげ] 今年の8月19日に永眠したトントは体重5kgほどもある大柄な猫で、またとてもおとなしい性格だったので、私や家族の者からはほとんどなにをされてもされるがまま。もちろんだからといって決していじめたりはしなかったが、抱っこもおんぶも膝乗せ肩乗せも嫌がることはなく、むしろごろごろと大きく喉をならすし、自分から「抱っこして〜」と要求することもよくあった。ときどきバーベルのように持ち上げたりもしたが、体がぐんにゃりしているので、両手で重量挙げのようなあんばいで持ち上げないと落としてしまうおそれがあった。トントの健在だった頃の写真をみるとたいそう切なくなる。