黒柿、黄檗、欅の刳物5点完成

 

11月2日(水)〜8日(火)に酒田市のデパート「清水屋」の4階画廊「ミュージアム5」で私の木工作品の個展を開催します。今回はあえて家具は含めず、厚板を掘り込んで蓋付きの箱にした刳物約40点をメインとする展示です。それでタイトルを『箱の宇宙』としました。

箱はたとえ釘打ちの簡単なものであってもなぜか惹かれるものがあります。ましてていねいに作られた指物や曲げ物や刳物の箱であればなおさらです。さらに蓋がしてあればもう言うことがありません。ごく小さな空間といえど閉じられた、他とは隔絶された独立した空間ということで、すなわちそれは宇宙です。

さてその個展に出す刳物の最後の品5点が完成しました。材種は3種類ですが、黒柿はともかくあとのふたつの樹種を漢字で書くとちょっと難しいですね。私は書けませんでした。欅(けやき)はいまは略字体で記すのがふつうになっていますし、黄檗(きはだ)の檗は旧字ではさらに上に草かんむりが付くようです。

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No.539 黒柿角形合蓋刳物 サイズは幅210mm、奥行72mm、高さ39mm、実の深さ16mm、蓋の深さ10mm。実と蓋は一木からの上下切り離しではないので、厳密には合蓋ではないという見方もあるだろう。蓋には孔雀杢が明瞭に表れている。 売切れ

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No.540 黒柿動物紋角形合蓋刳物 サイズは幅383mm、奥行88mm、高さ40mm、実の深さ16mm、蓋の深さ10mm。蓋の模様がイタチかなにかの動物を思わせるようなかわったかたちで、ちょうど眼のところには節の跡があるというのもできすぎだが、もちろんまったく偶然に出現したもの。黒柿で黒い模様はまだわかるが、この生き物の胴体の部分の白い模様はいったいどうしてできるのか? 全体にうっすらと縮みも入っている。

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No.541 黄檗変杢角型合蓋刳物 サイズは幅197mm、奥行120mm、高さ40mm、実の深さ20mm、蓋の深さ8mm。一見したところ黒柿のようだが、黒みはすべて年輪に沿って出ているので、年輪とは無関係に黒が生ずる黒柿とは様相が異なる。キハダの老体木にしわ状の杢+黒い変色(スポルト)という、きわめて稀な材料。渋くもあり、モダンでもある不思議な味わい。

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No.542 黄檗変杢方形被蓋刳物 サイズは幅195mm、奥行195mm、高さ48mm、実の深さ32mm。年輪に沿った黒い縞は非常に明瞭で、他と比べようもないほど独特のものである。実のほうはごくノーマルな柾目のキハダで、同じ樹種ながらこんなにも表情がちがうのは驚き。

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No.543 欅如鱗杢角形被蓋刳物 サイズは幅350mm、奥行252mm、高さ50mm、実の深さ32mmで、今回展示する刳物では最大寸法。A4サイズ(210×297mm)の書類が余裕で収まる。材料はケヤキの杢のなかでも最高級のもののひとつといわれる如鱗杢で、文字どおり魚の鱗を連想させるような細かい肌合い。皮革のようでもある。また木取は通常の場合と90度向きを変えて行っている(長手のほうが木口)のも珍しいと思う。

 

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